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第55話 ガードマンっていくら?

 セキュリティについて考えるのは身体に悪い。 なんせ答えが出ないんだから。 例えばガードマンはすごく費用が高い。 どれくらい時間を拘束するのか? 何人必要なのか? 会社への送迎だけにするのか? 休みに外出するなら事前に予約が必要? すべてを丸抱えにするなら、万事こちらに都合を合わせてくれるが――。 それには1日に2名ずつの3交代制にして、休みを入れると……もしかしたら20名? 頭が痛くなって上川秘書に聞いたら、 「会社で契約します」と言ってくれた。 「でも高いんでしょう?」 「そうですね、恐らく5千万から1億くらいだと思います」 ……は? 頭の中でキーンという金属音が鳴った。 絶句した。もう庶民が考えるレベルを超えている。 俺はせいぜい高くて月に300万くらいかと思っていた。 それでも年間3600万かかるんだしね。 しかし、さすがに上川秘書は詳しかった。 「はい、高いかもしれないのですが、会長の安全のためなら高くないと思います。 どちらにせよ、個人で雇おうとすると莫大な費用が掛かるので、どこの企業でも警備会社と年契約するんですよ。結局はその方が安いんです。 しかも危機回避ができるドライバーや、特殊な訓練を受けた要人警護のガードマンが、防弾ガラス付きの車で遅くても10分以内には駆け付けてくれます。 24時間対応です。前会長もご利用されていて、費用は年間1億だったと思います。 ただ、屋上のヘリポートからヘリに乗る分は除外されていたと思います。 TOPの方で遠方を利用される方もありますので、条件は皆さんそれぞれ違うかと思います。 ですので費用もご相談になると思いますが、これは会社負担が当然ですのでご心配はいりません。こちらの方で契約します。まずは要人警備担当の方に来てもらいますね」 上川秘書は微笑みを浮かべながら戻っていった。 あ〜、息が止まるかと思った。 ホッと一息を付くと、颯太が言ってくれたよ。 「先生も大変だね。俺もびくびくしちゃった」 颯太め! 「こら、他人事か? 颯太の安全を守る話なんだぞ」 「でも俺ってそんなに価値ないよね? 絶対おかしいよ。もうガードマンなんて要らないよ」 「はあ〜、颯太は分かってないんだよ。 颯太の肩には3万人の社員の生活が懸かってるんだよ。 その人たちに安心して仕事を続けてもらうためには、まず颯太が元気で会長をやっていないと崩れるんだよ。だからお父さんが決めたんでしょう? 何事も崩れる時は一瞬なんだよ」 「会長、院長のおっしゃる通りですよ。 もう会長一人の身体じゃないんです。その重さを守っていくのは並大抵じゃないと思いますよ。 だから安全が第一です。ここは守ってもらわないと。怖い思いをするのは嫌でしょう?」 急に颯太が頷いてシュンとした。 ちょっと笑った。 山川さんもちょっとニヤッとした。 「そうだよ。颯太には怖いものがいっぱいあるでしょう? でもガードマンがいれば、どこに行っても平気だよ。良かったねえ〜」 「もう~、俺の事、子ども扱いにしてない?」 「はは、わかっちゃった? あのね、明日警備会社の要人担当の人が来てくれるそうだから、そこでよく話を聞こうよ。 俺だって未知の世界だからさ。皆で勉強だね」 「はい」颯太がしぶしぶ了承した。 そこへ山川弁護士が一言。 「会長、私だって要人警護なんて知らないですよ。受けたことないし、これから一生経験がないかもしれないです。でもこうして初めて知る機会が出来ました。これから会長と行動を共にする場合は一緒に警護を受けることになります。覚えないといけないと思ってますよ」 「はい、分かりました。ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします」 颯太が素直にお礼を言った。

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