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第59話 外出先のリスト作り
その後、俺たちは警備会社に提出するため、これから行きそうな場所のリストを作ることにした。
1. 俺の自宅マンション
2. 佐久間総合病院
3. 俺の実家
4. 颯太の生家
5. 銀行、郵便局
6. 車種やナンバー(俺の車、実家の父の車、淳一の車、楓の車、颯太の生家の車、山川弁護士の車)
これくらいで良いだろうか。
他は少し選択が必要だった。
「颯太、美容院はいつもどこに行ってるの?」
「ああ……名前は分からないです。マネージャーさんが連れて行ってくれるので記憶にないです」
「じゃあ、洋服はどこで買うの?」
「仕事で使うのはスタイリストさんが持って来てくれて、普段着はアニクロで買います。でも滅多に行かないです。手持ちで足りるので」
山川さんと顔を見合わせてクスクス笑った。
「全く、欲がない方ですよねえ。きっとお金をいっぱい持っても使わないんでしょうねえ」
「そう言えば颯太がお金を使うところ、見たことないなあ〜」
「えへへへ」と颯太が笑う。
「颯太、ごまかされないぞ」
「そうだ、もうすぐ颯太も名誉会長の給料をもらえるよ。良かったねえ〜」
「え、もらえるの?」
「もらえるに決まってるでしょう? 山川先生、いくらくらいですか?」
山川さんはすぐにファイルを開いた。
「多分、毎月30万くらいだと思います。ただ、そこから保険や年金や税金が引かれますからね。手取りは減りますよ」
「ええ〜そうなんだ。でも今は音楽活動をしていないから、もらえるのはうれしいな」
「だって颯太は活動しなくても作詞作曲の印税があるでしょう?」
「ううん、あれはたいしたことないよ。やっぱり大ヒットを出さないとダメみたいだよ」
「へえ〜そうなんだ」
そこで颯太が、少しもじもじしながら聞いてきた。
「ええ……っと、聞いてもいいのかな? 先生の給料はいくらなの?」
「どうしても聞きたい?」
「うん」
にこっと笑って頷く。
俺は耳元でこっそり教えた。
「あのう、私知ってるんですけど!」と山川弁護士。
アハハハと二人で笑った。
「そうでしたね! 無駄でした」
「やっぱり先生はすごいね」と颯太が驚いている。
「いやいや、颯太にはかなわないよ。比べるのも恐れ多いよ」
「え、そうなの?」
まったく颯太は分かってない。
まあ、今はしょうがないか。
楓にメールで「これから行きそうな場所」を聞いたら、
『待った! 夜みんなで行くから、それまで待って!』
ふっ、また今夜も押しかけて来るぞ。
「先生、どうしたの?」
「うん? また今夜も皆で来るんだって。何作ろうか?」
「困ったね。じゃあ、中華料理を出前してもらったら?」
「よし! 賛成。卵入りの中華スープだけはうちで作るよ」
***
そういうわけで、皆がやって来た。
料理は中華料理店のウーバーイーツで届けてもらった。
テーブルを見た途端、楓が「やったー!」とはしゃいだ。
「来て良かったよ〜」
まったく、しょうがないな。
一通り食べている間に、昼間の警備担当の話を皆に聞かせた。
「それでね、これからのお出かけ先を全部教えておかないといけないんだよ。
向こうがそれでルートを作ったり、逃げ道を考えたりするらしいよ」
一斉に「へえ〜」と声が揃う。
「だから思いつくところはリストした。うちの家族全員の車の車種や番号も書いたからね。警備車の後を走る場合は“随伴車”って言うらしいよ。ぴったりと警備車の後ろを走らないといけないみたい」
「それさ、意外と難しいんだよね。人の後をくっついていくのってさ」と淳一。
その後は、さらに細かい話を続けた。
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