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第62話 SP警備初日
翌日は朝8時半に、ピタッと玄関のチャイムが鳴った。
俺たちは結構ドキドキして待っていた。
「おはようございます。本日は初日なので、私・三枝が担当させていただきます。それから警備スタッフは日替わりや時間によって変わりますので、名前などはお気になさらなくて結構です」
「はい、分かりました。よろしくお願いします」
俺は診療カバンを持っていた。いつ必要になるか分からないからだ。
ああ……でもリュック型にしようか? とふと思う。
両手が空いていた方が、颯太と手をつなげるな。
とりあえず玄関に鍵を掛けて出発だ。
颯太は二人のSPにしっかりガードされている。
エレベーターはSPが開けたまま押さえていた。
うわ〜……すぐ出てこないと他の住民に迷惑をかけると思った。
1階に降りると、目の前に黒塗りの頑丈そうな高級車が2台停まっていた。
そうだ、言っておかないと。
フロントのコンシェルジュに声をかける。
「今度から警備のSPが送迎してくれることになったので、よろしくお願いします」
「はい、かしこまりました。御用がありましたらいつでもお申し出ください」
なんだか、こっちがかしこまってしまう。
先導車にはすでにSPが1名乗っている。
後ろの車のドアが開けられ、SPがピタッとそばについていた。
「名誉会長からお乗りください」
颯太が先に乗り、続いて俺が乗った。
会社に着くと、上川秘書と山本秘書が待っていた。
「降りるのは少々お待ちください」
先頭の車からSPが2名降りて、360度を確認する。
それから俺たちの車のSPが降りてドアを開けてくれた。
何やらインカムで小さな声で話している。
当然、あとから乗った俺が先に降りる。
「はい、了解。クリアです」
その声で、ようやく颯太が降りる。
あーーーー疲れる。
SPの先導で会長室行きの直行エレベーターへ。
すでにSPがいて、開けて押さえている。
最上階に着いた。
まだ降りられない。
先に秘書たちが降り、SPが2名で確認。
「クリアです」
それでようやく俺が先に降り、最後に颯太が降りる。
今度は会長室だ。いきなり入れない。
先にSPが部屋に入り、部屋中を確認してから「クリアです」
俺が先に入り、最後に颯太が入る。
ここでようやく終了。
「今度部屋を出る時は同行いたします。それまでは廊下で待機いたしますので、よろしくお願いします」
ドアが閉まった瞬間、颯太と二人でソファーにどんと座り込んだ。
「はーーーっ!」
山川先生がクスクス笑っている。
「もうお疲れのようですね」
しばし頭を抱えた。
すぐ慣れるか……こんなこと。
そこへ上川秘書がやって来た。
「今から10分ほどお休みいただいて、ヘアメイクやエステの予約が10時からだそうです。では3分前にまたお迎えに上がります。終わりは11時40分の予定です。終わりましたらこちらにお戻りいただきます。なお、午後はスタイリストが伺う予定になっています」
続いて山本秘書がお茶を持ってきてくれた。
二人が下がると、颯太と二人でお茶をがぶ飲みした。
そこへ山川先生がやってきて、
「大変ですなあ〜」
と笑いながら高みの見物をしていた。
くそー。
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