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第68話 外商カードの使い方
金曜日の夕方、「土日の予定はありますか?」と上川秘書から聞かれた。
週末の所在確認や予定も把握しておかないといけないらしい。
そこで、日曜日の楓発案の“SP買い物ツアー”に行く話をした。
すると笑顔で「まあ、それは楽しそうですね。では少々お待ちください」と言われた。
会長室に戻ってくると、封筒を渡された。
「こちらは各百貨店の外商カードと、それぞれの担当者の名刺です。
すべての百貨店を網羅していますので、行かれる前日には名刺の外商員に予定をお話しください。どこの支店でも、担当者が外商サロンでお待ちしていると思います」
「ということは、先に買い物をしてからでは駄目なんですね?」
「はい、それではお手数を掛けることになります。外商員は“楽にお買い物ができるアシスタント”です。荷物もすべて外商員が持つなり、売り場のスタッフに外商サロンへ集めてもらうなりして、あとでご自宅に運んでくれます。荷物を持つ必要はありません。しかも請求時には値引きもありますから、お買い得ですよ」
「へえ〜そうなんだ。分かりました」
「あ、それとですね、今回は必要ないかもしれませんが……差し上げるお相手の会社の系列に百貨店がある場合、プレゼント類もその百貨店で買うことになります。他系列の百貨店で買ったものでは、失礼にあたりますので」
「へえ〜そうなんだ。なるほどね。そこまで頭が回らなかった。これは聞かないと分からないことだね」
「俺、何にも分からないよ。これからどうしよう?」
颯太がもう心配している。
「大丈夫ですよ。そういう時こそ外商員が要るんです。用途を言えば選んで持って来てくれます。それと、SPが同行することは事前にお伝えいただいた方がいいかもしれません」
上川秘書が頼もしい。
「はい、分かりました。また勉強しましたよ」
俺の知らない世界だ。日曜日は大丈夫かなあ……。
***
夜、楓に電話した。
上川秘書に言われたことを伝えると、
「あら、お母さんも日本橋の高上屋百貨店の外商担当者に来てもらうって言ってたわよ」
「え、そうなの? じゃあどうなるんだろう。困ったな」
「まあいいわよ。お母さんが買うものは自分の外商員に言えばいいし、兄貴はミツワの外商員に託せばいいんじゃない?」
「あ、そうだね。そうするよ。じゃあ、家を出るのは9時40分くらいでいいかな?」
「うん、そうね。待ち時間がない方がいいんじゃない? じゃあ、多野川のそばの方だからね。あっちの方がゆったりしてていいんじゃない? そこの外商サロンで待ち合わせね」
「OK。じゃあ、よろしくね」
***
「颯太、百貨店で何か買うものがあるか?」
「わかんない。百貨店って行ったことがない気がする」
「そうか、聞いた俺がバカだった」
「もう〜ひど〜い!!」
ぽかぽかと胸を叩かれた。
笑いが止まらない。
でも俺もないなあ……食料品くらいだ。
あ、颯太の寝間着はあってもいいかな?
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