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第70話 楓のSP付買い物ツアー・2
買い物したものは全部家まで届けてくれることになったので、17時以降届けでお願いした。
次は地下の食品売り場へ。
「颯太、今夜すぐ食べられるものを買おうよ」
「うん、どれもおいしそうだねえ〜」
そう言いながらも目移りして、俺もなんだか決められない。
楓や母はさっさと決めていた。さすがだよ。
「楓、夕食はどれがいいと思う?」
「今からカフェで昼食を食べるから、夜は和風のものが良いんじゃない? 選んであげようか?」
「うん、頼むよ」
楓はさっさと通路を歩き、焼き鳥が何本か入ったお弁当を買っていた。
「あとはサラダね。颯太はどれがいいの?」
これまた目移りして決められない。
「じゃあ、シーフードにしたら? 美味しいよ」
頷いていたから、それでいいか。
混雑しているから、早く出たかった。
何しろこっちは大所帯だ。
SPも目をキョロキョロさせて大変そうだった。
サラダを買ったところで次へ行くことにした。
***
今度は楓がいつも行っているという、駒公園沿いにあるカフェだ。
例によってSPが店内に入り、サッと場所を決めて「ここでお願いします」と指定された。
店の人も慣れている。
すぐ後ろから来て水とメニューが置かれた。
この時点で12時前。順調だ。
メニューがどれもおいしそうで目移りする。
ドリンクも豊富だが、パンケーキがすごく美味しそうだ。
颯太が「俺、このパンケーキを食べたい」
キャラメルソースとアイスクリームが乗ったパンケーキを指さした。
よし、俺も同じのにしよう。
「ドリンクは?」
「バナナシェイクにする」
……大丈夫か?
両方ともお腹に溜まりすぎじゃないか?
まあ残れば俺が食べるか。
俺はホットのハーブティーにした。
最悪、颯太にこれを飲ませよう。
5分ほどでパンケーキが来た。
楓たちを見ると、みんな同じものにしていた。
父と淳一はステーキサンドだ。
さあ、揃った。皆で「いただきます」で食べ始める。
「ねえ兄貴、SPの人たちの食事はどうするの?」
「知らない。多分、交代の人が来るんだと思うよ。仕事中は食べたりしないよ。見張ってないといけないからさ」
「はあん、なるほどね。それも大変だよね」
颯太はおいしそうにパクパク食べていた。
こんなに食べるのは珍しい。
「颯太、今日は随分食欲があるみたいだね?」
「うん、今日は楽しいし、これも美味しいよ」
「良かったね」
「今日の颯太、ものすごく可愛かったねえ〜。伝説ものだよ」
ふふふと楓がまだ笑っている。
「本当、最高だったわね」と母。
「なに? なんかあったの?」と父。
父は遠巻きに見ていたから、颯太の会話を知らない。
どうせ帰ったら楓が魚にして喋りまくるさ。
「だってさ、颯太って贅沢を知らないんだもん。節約家だよね?」と楓。
「え?」と颯太が不思議そうに首をひねる。
颯太は節約と贅沢の両方を知らない。
無理しているのではなく、欲の概念がないんだよね。
恐らく物質的には何不自由なく与えられてきたから、物欲が本当に無いんだよ。
「それは俺も思ったよ。何も欲しがらないんだもん。珍しいよ」
淳一も不思議そうにしていた。
「多分、颯太はこのままでずっと行くと思うよ」俺が補足した。
「颯太はそのままが一番いいよ」と父。
颯太はうんと頷きながら、嬉しそうにパクついていた。
食べ過ぎだろう。
1時間ほどで店を出た。
最後に、家の近くのインターナショナル・スーパーマーケットに行かないといけない。
今日はそこが最後の予定だ。
***
カフェからは車で15分ほど。
スーパーで買い物をしたら、16時半には家に着かないと荷物が届いてしまう。
颯太は全部食べられなかったが、それで十分。
全部食べたら食べ過ぎだ。
スーパーにはすんなり着いた。
駐車場係の人が誘導してくれ、俺と颯太は車寄せで降ろしてもらった。
SPの先導でどんどん前へ進む。
楓たちとはここで現地解散にした。
実家もここから近いしね。
何よりも日曜日で混雑していた。
カートを持って、片っ端から野菜や必要なものを放り込んでいく。
結局カートいっぱいになった。
レジで「お届けしましょうか?」と言ってくれた。
ありがたい。「ぜひお願いします」
会計をして、住所などを書く用紙をもらって記入した。
常時お届けを希望する人が書くものらしい。
顧客カードのようなものを貰った。
「そして夕方にお届けします」と言ってくれた。
量が多かったから、本当に助かった。
このスーパーはいいな。
今まで気づかなかった。
やはり高いからだろう。
もっと小さな路地の食料品店の方が野菜は安かったりするけど、今はそんなことを言っていられない。
とにかく今日は予定より早く終わって助かった。
すぐSPに家まで送ってもらった。
こういう時に最速で家に送ってもらえるってありがたいと思った。
もう今日は疲れたよ。
家に帰ったら16時だった。
もうしばらくは外出したくない。
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