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第71話 颯太の新曲発表

 買い物ツアーから、もう2週間ほど経った。 ある朝、広報スタッフが揃ったところで、颯太がうれしいことを言ってくれた。 「皆さん。新曲が出来たので歌っていいですか?」 「ちょっと待って、皆を呼んでくるから!」 俺は急いで山川弁護士と上川秘書にも連絡した。 「会長が新曲を作ったそうです。よかったら聴きに来ませんか?」 うわ~!という歓声が電話越しに聞こえた。 皆がすっ飛んできそうだったので、俺は会長室の扉を開けて待っていた。 もういいかな。 誰かが「全館放送します」と言って、ワイヤレスマイクを持ってきてキーボードの前に置いた。 颯太はニヤニヤしながらキーボードの前に座って待っている。 「もういいですか?」 皆で拍手を送った。 そして、思いのほか楽しい曲が流れ始めた。 みんなで盛り上がるタイプの曲なのかな。 リズムは軽快で、歌詞も明るい。 颯太の声も弾んでいて、本当に楽しそうだ。 歌詞は3番まであって、手拍子を打ちたいところだったけど我慢した。 最後まで軽快にサッと終わると、拍手喝采が起きた。 「うわ~、CMにぴったりですね。明るいミツワがイメージできますよ!」 広報スタッフも大喜びだ。 「全館放送って、ちゃんと皆に聞こえたのかな?」と秘書室のスタッフに聞くと、 「ばっちりですよ」と自慢げに言っていた。 「広報スタッフが、さっそく著作権の契約書を作らないといけないですね?」 「いえ、これは俺の仕事として作ったので、著作権は会社にしていいですよ」 「だめです!」とスタッフが声を揃えた。 これからミュージックビデオやコンサートにも使うから、著作権は放棄してはいけないらしい。 そうなんだ。俺にはよく分からない。 とにかく、これでCMを作るそうだ。楽しみだね。 それにしても、こうして颯太がだんだん会社に馴染んでいくのがうれしい。 ここまで元気が戻ったなら、そろそろ大学の勉強も再開した方がいいかもしれない。 「颯太、大分身体が治ってきたから、大学の勉強を再開する?あまり間を開けない方がいいと思うよ」 「え?でも1年間の休学届を出してるよね?」 「うん。でもまだ3か月しか経ってないし、5年かけて卒業するつもりでやれば無理なく続けられると思うよ。相談してみようか?」 「……俺、もう勉強についていけないかもしれない。自信がない」 「ふっ、そういうこと言ってると会長なんだから困るよ。大学は絶対卒業しないと駄目だよ。 だから、分かる人に勉強を見てもらえばいい。俺は理系だから文系は全部教えられないんだ。ごめんね。だから相談しよう」 「……うん、わかった。誰か教えてくれる人がいるならやってみるよ」 さっそく上川秘書に来てもらった。 「はい、御用でしょうか?」 「会長の体調が大分戻ったので、大学に復学できるかどうか調べてほしいんです。 それと、これから文系の勉強をずっと見てくれる優秀な人を探してもらえますか?」 「はい、かしこまりました。決まり次第ご連絡いたします」 その日の午後4時過ぎには、もう見つかったそうだ。 「先ほど家庭教師が見つかりました。大学で教えている方です。今は非常勤なので午後は空いているそうです。すぐに面接に来てくれるそうですが、来てもらってよろしいですか?」 「はい、大丈夫です。こんなに早く見つけてくださってありがとうございます。ぜひお願いします」 そして、家庭教師の先生が面接に来てくれた。

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