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第91話 欲張りなトースト
帰宅した後はすぐ夕食にした。
デザートのリンゴも食べられた。
でも、食後のお茶を飲んでいる頃から、颯太がまったりしてきて、ふわっと眠りそうな気がした。
今日は昼寝してないからなあ。
「颯太、眠い?」
「うん、だんだん眠くなってきた」
「お風呂に入る元気はある?」
「う〜ん……ないかも」
「じゃあ、歯磨きしよう」
一緒に歯磨きして、ベッドに向かった。
「先生、ちょっと早いけど、一緒にいてぇ〜」
「うん、いいよ。一緒にいよう」
一緒にベッドに入ると、
俺のはだけた胸に頬をぴとっとくっつけてきた。
この方が落ち着くらしい。
手は俺の手か肩を掴んでいる。
「颯太、そろそろ先生と呼ぶのをやめない?」
「う__ん、考えておくね__」
そう言った瞬間、ころっと眠ってしまった。
早いなあ……まるで小さな子供だ。
これを剥がせるか?
しばらく待って、そっと剥がして抜け出した。
それからシャワーを浴びた。
この混乱した頭を何とかしないと眠れない。
秘書のプリントが頼りだ。
自宅の権利書を出してきた。
実印、マイナンバーカード、クレジットカード類。
銀行の預金通帳全部。
そうだ、証券会社にも出さないといけない。
外商カード。光熱費の領収書。通信の書類。
パスポート。
あ、マンションのフロントに言うのを忘れた。
明日の朝にしよう。
必要書類を一通り集めて、プリントの順番通りに並べてファイルした。
それを大きなファイルケースに入れる。
取っ手が付いているから持ち運びは楽だ。
時間的に今できることは何もない。
なんせ通帳が変わるんだからどうしようもない。
さあ、明日にしよう。
もう寝ることにしてベッドに行った。
そっと滑り込んで颯太を抱いて眠ろう。
すると、なぜか颯太がぱちっと目を開けていた。
「え、どうした?起きてたの?」
何も答えずに両手を広げて胸に縋ってきた。
「だって寂しいもん……一緒にいてぇ〜」
「うん、ごめんね。ちょっと仕事してた。でももう寝るよ」
颯太をぎゅっと抱きしめながら、髪を撫でた。
もう余計なことを考えるのはやめよう。眠ろう。
翌朝、起きると颯太も爽やかな表情。
いっぱい寝たのが良かったのかな?
今朝はシナモントーストにした。
俺は好きなんだけど、颯太はどうだ?
「颯太、シナモントーストとはちみつトーストとではどっちがいい?」
「ええっとね、半分はバタートーストで、残りの半分がシナモンで、あとははちみつがいい」
ふふふ、笑った。
「颯太って面白いね」
「えへへへ、そう?欲張りでしょう?」
「いいよ、いつも欲張りになっていいよ」
「うん」
そう返事したと思ったら、席を立って俺の膝の上に座った。
……ん?
「ここで食べてもいい?」
アハハハ、まいった。かわいすぎる。
「いいよ」
膝に座ったから、片手でお腹に手をやって支えることになる。
だから俺は片手で食べないといけない。
こぼしそうだ。いや、こぼすこと確定。
「颯太、食べにくいんじゃないの?」
それでも根性でお皿を持ってパンを食べていた。
なんかペットあるあるじゃないか?
サラダは食べにくそうだ。
ぽろっと何かこぼした。
二人で吹いた。お腹が揺れる。やばい。
「膝の上は食べた後にする?」
「うん、そうする」
離れた。
可愛くて笑いが止まらない。
颯太と暮らすのは飽きないねえ〜。
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