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第97話 立花家が福を呼ぶ
とりあえず車がうちに入れるように、楓と淳一の車は病院へ移してもらった。
だから玄関前には、父の車とSPの車、立花家と三上さんの車で計四台。
SPの先導車は別の場所へ移動してもらう。
うちも玄関前に並んで出迎えた。
車から降りてきた三上紀子さんは、小柄で可憐な女性だった。
すごく愛らしい。これはもう決まりだな。
淳一を見ると、もう目がハート型になっている。完全に釘付けだ。
颯太と三上さんは目が合うと、お互いに笑顔で手を振っていた。
「まあ、ようこそお越しくださいました。狭いところですが、どうぞお入りください」
母が案内すると、
「お邪魔いたします」
と皆さんに先に部屋へ入ってもらった。
リビングに通すと、早速小林さんが、
「こちらは皆で作りました焼き菓子です。どうぞお召し上がりください」
そして三上さんも、
「私が作ったチーズケーキです。お気に召すと良いのですが、どうぞお召し上がりください」
と差し出してくれた。
小林さんが紹介してくれる。
「ではご紹介しますね。こちらはご近所の三上紀子さんです。今は自宅でピアノを教えていらっしゃいます」
「三上紀子です。初めまして。本日は突然申し訳ございません。どうぞよろしくお願いします」
笑顔がかわいいなあ。
「では、うちの家族をご紹介しますね」
一通り紹介したが、やはり淳一を意識しているのか、
紀子さんは少し視線を向けても、すぐにうつむいてしまう。
<おーい!淳一、なんとかしろよ!>
心の中で叫んだ。
「じゃあ、早速お食事にしましょうか?」
俺が声を掛けると、颯太が小林さん達に向かって、
「今日はねえ、俺も作ったんだよ」
と言ったものだから、みんな目を丸くした。
「ええ? 颯太様が料理をなさったのですか?」
ものすごい驚きようだ。
ダイニングテーブルを二つ足して十三人分にした。
今日は焼きながら食べるスタイルなので、ホットプレートを二台中央に置いている。
普段の料理でいいことにしたんだよね。
ありのままが一番いい。
テーブルにはすでにシーフードサラダと、注文して作ってもらった刺身の盛り合わせが二か所。
ドレッシングは俺が作った玉ねぎドレッシングだ。
コーンフレークを使った唐揚げ、牛肉のちらし寿司も用意した。
「うちはあまりおもてなし料理はできなくて、普段の料理にしました」
俺の言い訳なんだけど、家政婦さん達はプロの料理人だもんな。
「淳一、紀子さんを案内してよ。隣同士がいいだろう?」
ニタッとしていた。
先に乾杯しようか。
「ビールがいい人? ノンアルがいい人は?」
「淳一と楓は、ドリンクのサービスお願いね」
「はーい。お任せください」
皆に行き渡ったので、今日は俺が音頭を取った。
「では皆さん、乾杯の準備は良いですか。
本日はお越しいただきありがとうございます。
皆さんとこうしてご縁をいただけたことを嬉しく思います。
どうぞ気楽に楽しんでいってください。乾杯!」
乾杯の後は立花家の皆さんに声を掛けた。
「今日はね、颯太がパリパリチーズ焼きを作りますね」
「えー?」
家政婦さん達の反応がいい。
「由紀さん達も一緒に焼いてくれる?」
と颯太が言うと、みんな嬉しそうだ。
「あのね、餃子の皮をプレートに広げて具をのせるんですよ」
俺が説明した。
「颯太、ちょっと見本を作ったら?」
「うん、そうする」
餃子の皮を広げ、チーズ、青じそ、明太子、切ったお餅、カレー味のひき肉入りポテト、ハム、チョリソーソーセージなどを並べる。
「好きな具を乗せて、上から皮をまた乗せて、オリーブ油をたらーっとかけて、両面こんがり焼くんですよ。みんなやってみてぇ~」
「んまあ~」
とまた驚いている。
「皆さんもどうぞ、ご自分のを作って召し上がってくださいね。淳一も紀子さんの作ってあげてね」
「はい、了解です」
と淳一は張り切っている。
「何を乗せますか?」
なんて聞いていて、初々しいなあ。
家政婦さん達は手際よく美味しそうなのを作っていた。
「颯太、紀子さんに会うのは久しぶりなんじゃないの?」
俺が聞くと、
「うん、ノリちゃんは懐かしいよ。でも大人になった感じかなあ」
「ソウちゃんも大人になったよ。もう結婚したんだもんね。なんか素敵な方と出会って良かったね。いいなあ~」
可愛くて、みんなでくすくす笑った。
話が少しずつ広がっていった。
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