97 / 104

第97話 立花家が福を呼ぶ

とりあえず車がうちに入れるように、楓と淳一の車は病院へ移してもらった。 だから玄関前には、父の車とSPの車、立花家と三上さんの車で計四台。 SPの先導車は別の場所へ移動してもらう。 うちも玄関前に並んで出迎えた。 車から降りてきた三上紀子さんは、小柄で可憐な女性だった。 すごく愛らしい。これはもう決まりだな。 淳一を見ると、もう目がハート型になっている。完全に釘付けだ。 颯太と三上さんは目が合うと、お互いに笑顔で手を振っていた。 「まあ、ようこそお越しくださいました。狭いところですが、どうぞお入りください」 母が案内すると、 「お邪魔いたします」 と皆さんに先に部屋へ入ってもらった。 リビングに通すと、早速小林さんが、 「こちらは皆で作りました焼き菓子です。どうぞお召し上がりください」 そして三上さんも、 「私が作ったチーズケーキです。お気に召すと良いのですが、どうぞお召し上がりください」 と差し出してくれた。 小林さんが紹介してくれる。 「ではご紹介しますね。こちらはご近所の三上紀子さんです。今は自宅でピアノを教えていらっしゃいます」 「三上紀子です。初めまして。本日は突然申し訳ございません。どうぞよろしくお願いします」 笑顔がかわいいなあ。 「では、うちの家族をご紹介しますね」 一通り紹介したが、やはり淳一を意識しているのか、 紀子さんは少し視線を向けても、すぐにうつむいてしまう。 <おーい!淳一、なんとかしろよ!> 心の中で叫んだ。 「じゃあ、早速お食事にしましょうか?」 俺が声を掛けると、颯太が小林さん達に向かって、 「今日はねえ、俺も作ったんだよ」 と言ったものだから、みんな目を丸くした。 「ええ? 颯太様が料理をなさったのですか?」 ものすごい驚きようだ。 ダイニングテーブルを二つ足して十三人分にした。 今日は焼きながら食べるスタイルなので、ホットプレートを二台中央に置いている。 普段の料理でいいことにしたんだよね。 ありのままが一番いい。 テーブルにはすでにシーフードサラダと、注文して作ってもらった刺身の盛り合わせが二か所。 ドレッシングは俺が作った玉ねぎドレッシングだ。 コーンフレークを使った唐揚げ、牛肉のちらし寿司も用意した。 「うちはあまりおもてなし料理はできなくて、普段の料理にしました」 俺の言い訳なんだけど、家政婦さん達はプロの料理人だもんな。 「淳一、紀子さんを案内してよ。隣同士がいいだろう?」 ニタッとしていた。 先に乾杯しようか。 「ビールがいい人? ノンアルがいい人は?」 「淳一と楓は、ドリンクのサービスお願いね」 「はーい。お任せください」 皆に行き渡ったので、今日は俺が音頭を取った。 「では皆さん、乾杯の準備は良いですか。 本日はお越しいただきありがとうございます。 皆さんとこうしてご縁をいただけたことを嬉しく思います。 どうぞ気楽に楽しんでいってください。乾杯!」 乾杯の後は立花家の皆さんに声を掛けた。 「今日はね、颯太がパリパリチーズ焼きを作りますね」 「えー?」 家政婦さん達の反応がいい。 「由紀さん達も一緒に焼いてくれる?」 と颯太が言うと、みんな嬉しそうだ。 「あのね、餃子の皮をプレートに広げて具をのせるんですよ」 俺が説明した。 「颯太、ちょっと見本を作ったら?」 「うん、そうする」 餃子の皮を広げ、チーズ、青じそ、明太子、切ったお餅、カレー味のひき肉入りポテト、ハム、チョリソーソーセージなどを並べる。 「好きな具を乗せて、上から皮をまた乗せて、オリーブ油をたらーっとかけて、両面こんがり焼くんですよ。みんなやってみてぇ~」 「んまあ~」 とまた驚いている。 「皆さんもどうぞ、ご自分のを作って召し上がってくださいね。淳一も紀子さんの作ってあげてね」 「はい、了解です」 と淳一は張り切っている。 「何を乗せますか?」 なんて聞いていて、初々しいなあ。 家政婦さん達は手際よく美味しそうなのを作っていた。 「颯太、紀子さんに会うのは久しぶりなんじゃないの?」 俺が聞くと、 「うん、ノリちゃんは懐かしいよ。でも大人になった感じかなあ」 「ソウちゃんも大人になったよ。もう結婚したんだもんね。なんか素敵な方と出会って良かったね。いいなあ~」 可愛くて、みんなでくすくす笑った。 話が少しずつ広がっていった。

ともだちにシェアしよう!