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第107話 家政婦

 ホテルで高級な極上ステーキを二人で平らげたあと、颯太を防音室で休ませることにした。 少しでも体力を温存するためだ。 その間に病院関係のメールを処理して、13時45分に颯太を起こした。 「じゃあ、勉強が終わった頃、迎えに来るからね」 会長室を出ると、久しぶりに外をぶらつくことにした。 一週間も買い物をしていない。 今夜はどうしよう? メールを見ると、また楓たちが夜に来るらしい。 え〜? またかよ。噛みあとを見るつもりか。 家族に見られるなんて最悪。恥ずかしすぎる。 でも淳一がどうしても見たいんだって。今後の参考にするそうだ。 それは今夜じゃなくてもいいだろ? まだ絆創膏貼ってるんだぜ。もう〜。 今夜は何を作っていいか分からない。 そうだ、寿司にしよう。予約してウーバーイーツに頼んだ。 しょうがないから百貨店でサラダを二種類買った。 あとはデザート。 カットフルーツの詰め合わせにした。これなら残っても食べられる。 あとはベーカリーでパンを買った。これでいいか。 明日の帰りはスーパーに寄ろう。 なんだか毎日が気忙しい。 その割には病院の仕事がほったらかしだ。 最近は家事が負担になってきた。 なかなか掃除まで手が回らない。ルンバだけじゃ不足だ。 水回りまで手が行き届かないから、少しストレスになってきた。 どこかのメイドサービスでも頼もうかな? 16時に社食にいた。 颯太に「終わったら荷物持って社食に来て」とメールした。 そしてやって来た。 ニヤニヤしている。 「もう〜、恥ずかしがり屋なんだから〜」 ってSPの前で言うなよ! 恥ずかしさの上塗りだ。 とにかく自宅に帰った。 今日はめっちゃ疲れた。もう何もやる気が出ない。 荷物を冷蔵庫に入れたら、ソファでひっくり返った。 ああ〜、まだ家族という関門がある。 「颯太、勉強はどうだったの?」 「うん、なんとかなるって。ヒートの休みは大丈夫なんだって」 「ふ〜ん、そうなんだ。ところでさ、今夜は楓たち御一行様が来るそうだからね。お寿司を頼んどいたよ」 「うん、わかった。俺、準備しておくよ」 「無理しなくていいよ。後で俺がやっとくから」 「うん。でも先生、やること多いから負担になってるんじゃないの? うちから家政婦さんに来てもらおうか?」 「え? そんなことができるの?」 「うん、できるよ。電話すればみんな喜んで来ると思うよ。絶対暇なはずだもん。小林さんに電話するよ」 俺がどうしようか考える間もなく、その場でもう小林さんに電話していた。 「あ、小林さん? あのね、お願いがあるんだけど、誰か家政婦さんを短時間でいいから、うちの家事お願いできますか? 先生が忙しすぎてバテてるからさ」 ああ〜……もう、言っちゃった。 「あ、そう? うんうん、午前だけでいいと思う。ええとね、9時から11時半までね。うん。えっと、俺が大学に行ってる時間がいいな。月水金ね。はーい! よろしくお願いしまーす」 「ほら、もう決まったよ。いいってさ」 「は?」 あー、小林さんに挨拶する間もなく決まってしまったようだ。 申し訳ない。でも助かる。

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