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第31話「僕らはコタツを悪用する」
【1月1日木曜日22:00】
たこ焼きの後は、珍しくテレビをつけ、くだらない正月番組をコタツでダラダラと見た。
「お風呂沸いてますよ、どうぞ」
僕はその言葉に甘え、先に風呂に入らせてもらい、パジャマ姿でまたコタツへと戻ってくる。
入れ替わりでシュウが風呂へ行くと、僕はクッションを枕に寝転がり、肩までコタツに潜り込む。
仕上げなければいけない椅子のことも、どこにあるか分からない監視カメラのことも、卒業試験のことも、全て忘れられるひと時だ。
今日の課題のことだって、すっかり忘れていた……。
僕はコタツの暖かさに眠くなり、ウトウトとし始める。
風呂上がりのシュウが見たら「コタツで寝たら風邪をひきますよ」と、また怒るだろう。
—
「……んっ」
気がつけば、背後から暖かい何かに、すっぽりと包まれている。
僕のパジャマのシャツには、いつの間にか、それが侵入し、素肌を撫でていた。
手のひらは、舐めるように僕の上半身をくまなく触る。
脇腹を、腹筋を、そして胸の飾りを……。
「あぁ」
僕の身体には、ジワジワと快感が溜まってゆく。
甘く緩やかな疼きは、徐々に大きく膨らみ、淡い刺激では物足りなくなる。
「もっと、ねぇ、もっと……触って」
「声を出してはいけませんよ」
耳元でそれが小さく囁く。
吐息のような声が、耳にかかって、僕の疼きは我慢できないレベルへと急上昇する。
「そのまま、寝たふりを続けていて」
その声が夢ではなく、現実のシュウだとようやく認識できた。
そうか、コタツで寝入ってしまったのだ。
胸を這っている手とは反対の手が、パジャマのズボンに入ってきた。
「あっ」
太腿をするりと撫でられるだけで、僕の中心は熱く形を変え始める。
「シュウ、触って……」
欲望を滲ませた甘く擦れた声を出し、ねだってしまった。
「忘れたのですか?キヨ。今日の課題を」
「課題?ねぇ、それよりも、早く……」
「『死角にて、声や表情を変化させず性的な接触を持つことを許可する』ね?だから、キヨは寝ていて。私がコタツの中、触ってあげますから」
「……ん」
シュウの手によって、僕のパジャマのズボンが太腿までズレされる。
小さなコタツの中は酷く狭く、身動きが取りづらい。
それでも僕は、快楽が得られるよう腰を上げ、今度は下着がズラされるのを、手伝った。
コタツの中で温まったシュウの指が、直接僕自身に触れ、扱いてきた。
目を閉じたままの僕は、今朝見た彼の美しい指を思い出し、その指が蠢くところを想像する。
「あぁ、シュウ……」
「ん?どうしました、キヨ」
シュウの声もイヤらしく艶っぽい。
(シュウのも、さ、わ、り、た、い)
口の形だけでそう伝えれば、シュウは背中を見せている僕の身体を、ひっくり返す。
狭いコタツの一辺に一緒に入り込んでいる僕らは、抱き合うように向き合った。
そして、互いに触り合う。
とにかく窮屈で、思うようには動けない。
それでも、気持ちは高まって、手の動きは速くなる。
「あっ……、……、ぁ……」
もう少しで達する、というところでシュウが手を止めてしまった。
僕は「やめないで」という思いを込め、首をブンブン横に振る。
シュウは、彼自身に触れている僕の手を引きはがし、自分のものと僕のものを合わせて握った。
そうして、2本を一緒に扱いてくれる。
狭いコタツの中で密着した僕らは、ハァハァと息を乱し、ガタガタと揺れる。
僕は声を出してしまわぬよう、その表情を見せぬよう、毛布で顔を覆う。
「…………あっ……」
僕らは同時に、シュウの手の中で果てた……。
思い出のコタツで、随分とイケないことをしてしまった……。
乱れた呼吸が徐々に整うと、シュウは立ち上がってキッチンへ手を洗いに行く。
「私としたことが、課題に対し、ギリギリの行為だったかもしれません。反省します」
まるでカメラを意識したように、大きな声でそう言った。
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