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§28-2 執務室の秘め事

  「ライゼルから提案されるとは思っていなかったから、驚いた」 「……」  顔から火が出そうなほど恥ずかしい。グレンの顔が真っ直ぐ見られない。  優しい手が動き、頬に添えられる。グレンの顔がゆっくり近付いてくると同時に顔を上向きにされる。 「天にも昇る思いだ」  これ以上無い、色良い返事だった。  グレンの返事を聞いて、俺は細く安堵のため息を吐いた。 「ドキドキした……」 「そうだろうな。言葉にして伝えてくれて、ありがとう」 「……うん」  キスがしたいと思った。今すぐに。    けれど流石にそれを口にする勇気はまだ出ない。俺は頬に添えられたグレンの手に自分の手を重ねてすり寄るようにする。    この気持ちも、伝わったら良いのに、なんて思いながら。    そうして見つめた先で、グレンの双眸が細められる。俺の気持ちを察した上で焦らしているのか、ずっと頭を撫でている。 「グレン」 「どうした」 「……呼んだだけ」 「そうか」  名前を呼んでみたが、その続きの言葉は紡げず口を閉ざす。気恥ずかしさとグレンとキスをしたい気持ちがコイントスのように心の中でぐるぐると面を変えている。  すると、グレンの腕が腰に回されぐっと引き寄せられてキスをされる。驚いた俺は思わず声を上げる。 「んッ! ……び、っくりした」 「違ったか?」 「……違わない」  今度は俺からグレンにキスを返した。半身だけ向いていた身体が引き寄せられて、あっという間に膝乗りの格好にさせられる。  キスをしたいとバレていたのが恥ずかしい。けれど今はそんなことよりも、この甘いキスを堪能したい。    この前の一件以来、頬に落とされるキスしかされていなかった。  それがグレンの優しさだと気づいていたが、俺はもう、それだけでは満足できなくなってしまったようだ。 「ふ、ぅ……ん……」  小さく漏れる声。グレンの舌で唇をなぞられ、俺は大人しく口を開く。    この前よりもゆっくり差し込まれる舌。お互いの舌が繋がるのではないかと錯覚するようなゆったりとした動きにが心地よい快楽へと誘う。  頭がぼうっとし始めた頃合いで、グレンがゆっくり身体を離す。 「……すまない、やりすぎた。こんなところで」 「ううん……俺もしたかったから」 「ハァー……そうか、それは嬉しい。嬉しいが、あまり煽るようなことは言わないでくれ。歯止めが効かなくなる」 「う、ごめん」  グレンは熱い息を吐いて何かを堪えるような表情をする。そして俺の髪を掬い、口づける。 「……また夜に。心積りをしておいてくれ」 「……うん」  くらりとするような熱い視線に焼かれ、肯首以外の返事は返せない。  

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