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第3話
「だからどうしてそう毎日喧嘩してくるの!!」
「喧嘩を売られたから」
「何で買うの!!」
「逃げたくないから」
家に帰ってきたときは誰もいなかったのに、夜になって帰ってきた母さん。
そんな母さんのうるさい言葉に適当に返す。
遅めの反抗期ってやつか?何だかわからないけど母さんの言葉にも、父さんの言葉にも苛立ってしまう。
「架月!!いい加減にしなさい!!」
「···············」
「出て行ってくれたっていいのよ!?学校だって、義務教育じゃないんだから!!」
「わかった」
隣で一緒に話を聞いていた太陽が立ち上がった俺を止めるように追いかけてくる。
「架月!」
「何だよ!!」
手首を掴まれて、咄嗟に振り払う。
振り返れば太陽の悲しそうな顔が視界に映って唇を噛んだ。
「ごめん、俺出て行く」
「なあ、お前が悪いってこと、わかってんだろ?」
「それでも。ごめん、今は一人がいい」
生まれてから今日までずっと一緒だった。
初めて一人がいいなんて言った気がする。
「···連絡だけはしてくれ、誰にも言わないから」
「うん」
携帯と財布だけ持って家を出る。
寒空の下、コートにマフラーを巻いているとはいえ寒いのは寒い。
さて、今日はどこで寝ようかな。
公園?···いや、さすがに風邪ひいちゃうか。
うーん、と頭を悩ませながら歩いてるとドン、と真正面から来た人にぶつかってしまった。あ、と思って振り返り、よろよろとしてるその人に「すみません」と謝る。
「って、あれ、お前佐倉···?」
ぶつかった相手は見知った顔で、同じ学校の同じクラスにいる真面目な奴だった。
「あ···羽島、くん···?」
「こんな時間に何してんの?」
「い、いや···何も、」
「···ていうか、何でそんな、服ヨレヨレなの···?」
そう言うと恐怖した顔を見せて、走って逃げようとする。けどすぐに足がもつれて転けてしまってて慌てて手を差し出した。
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