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第4話
「何かあった?」
「···あ、っ」
ズボンもちゃんと履けてない。着ているシャツのボタンだって1つ足りない。
まるで無理矢理服を脱がされたみたい。───···脱がされた?
「ねえ、もしかして誰かに襲われた?」
「っ!!」
一気に顔を青くさせて目に涙を溜めてる。
震え上がっていて立てそうにない佐倉をとりあえずどうにかしようと抱き上げた。
「あ、や、やだっ」
「確か佐倉って一人で暮らしてるんだよね?家どこ?」
「降ろしてっ」
「ちゃんと歩けてなかったでしょ。大人しく抱っこされときなさいって」
所謂お姫様抱っこを野郎相手にするのも何だか変だけど。
大人しくなった佐倉は道を教えてくれて、その通りに行くとひっそりとしたアパートに着いた。
「ねえ嫌だったら答えなくていいけど、突っ込まれて中に出されてる?」
「···っ、」
図星だったみたい。部屋に上がりそのまま風呂場を探してそこに入れる。マフラーとコートをとって、それから佐倉の服を脱がして温かいお湯を掛けてやる。途端驚いて俺にしがみついた。
「こ、わ···怖いっ」
「大丈夫だよ。中に出されたやつ早く出さないと後で悲惨なことになるからそれだけ出そうね」
嫌だって首を振る佐倉を無理矢理四つん這いにさせ中の精液を掻き出す。
体を震わせる佐倉は途中から泣き出して終わった頃には絶望したかのような顔になっていた。
「体洗って」
「···は、じまく···っ」
「もう!俺が洗うからね」
ワシャワシャと泡を立てて髪と体を洗っていく。浴槽にお湯は張ってなかったからそれは我慢してもらって、さっさと体を拭きリビングに連れて行った。
「ココアあるからそれいれるね。温かいもの飲んで落ち着きな」
「···あ、りがとう···」
流れる涙も拭かないで震える声で返事をした佐倉にキッチンにあったココアを入れて出す。
ココアの入った温かいマグカップを両手で包むように持った佐倉はそれを少しずつ飲んでいった。
「何されたの」
佐倉が落ち着いてきた頃、そう聞くと体を強張らせた。
「3人の、男に、いっぱい···触られ、た···」
「うん」
「嫌だって、言っても、やめてくれなくてっ」
落ち着いていた呼吸は荒くなって、止まった涙も溢れ出て嗚咽まで漏らしてる。抱きしめて背中を撫でてやると俺に凭れかかってきた。
「さっきはお風呂、ありがとう···」
「ううん、痛いところとかない?ないなら俺、もう行くけど···」
「えっ、ぁ、や、やだ···ここにいて、お願いっ」
一人が怖いのだろうか。しがみついて離れなくなった佐倉に行く場所もなかったからわかったわかったって伝える。
「とりあえず今日は寝な。お腹空いてるなら何か作るけど···」
「いらない」
「そう?じゃあほら、もう寝な」
部屋の隅にあるベッドに大人しく入った佐倉は隣にいてくれって俺に向かって手を伸ばす。
普段そんなに関わりがないのにこんなに頼ってくるくらいだ。相当怖い思いをしたんだと思うと可哀想で仕方がない。
「君は、架月くんの、方だよね···?」
「そうだよ?」
「よかった···間違ってたら、どうしようって、思って」
「別に、間違ってても怒らないし。気にしなくていいよ、そんなこともう慣れてるから」
もう瞼が落ちかかってる佐倉のお腹あたりをポンポンと一定のリズムで優しく叩くとそれに誘われて夢の世界に落ちていく。佐倉がちゃんと眠ったのを確認して立ち上がりココアを入れたマグカップを洗いにキッチンに行く。
「あ、太陽に連絡しないと···」
場所も、誰といるのかも、何も話さないつもり。
だから大丈夫だからね、とメッセージを入れて電源を切った。
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