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第8話

そんなことがあってから数日。 なかなか外に出るのが怖いからって引きこもり気味になってる日向と外に散歩に出た。 「···そんなに引っ付いてたら歩きにくいんだけど」 「でも、怖い···」 「もしまたそいつらがいたら俺が何とかするって言ってるでしょ。あ、それとも俺が弱いって思ってる?」 「思ってないけど···架月が喧嘩して怪我したら···」 「しないよ」 腕に絡みつく日向に向かってケラケラ笑う。 「喧嘩するの、怖くないの?」 「怖くないよ」 「何で?痛いでしょ?」 「痛みって慣れるんだよ?」 そう言うと少し怖かったのか引き攣った笑顔を俺に向けてくる。周りに人がいないのを確認してから触れるだけのキスをすると顔を真っ赤に染めて俺から離れた。 「び、っくり、した···」 「ふふっ」 日向を放ったまま先に先に歩いていく。後ろから待ってって言いながら追いかけてくる日向を無視してると小さい公園が視界に入ってきた。 そこに自然と足が向いて、木で作られたベンチに腰を下ろした。 寒いな、と着ていたコートのポケットに手を入れて前を向く。俺以外誰1人いない公園、シーンとしていて余計寒く感じる。 「架月!!」 「···遅いよ」 そこに現れた日向は俺を見つけて飛びついてきて体が揺れた。 「置いてかないでよっ」 「知らないよ」 口をムグッと噤んで黙った日向。怒ったのかなって顔を見たら目をうるうると潤ませていて少しだけ焦る。 「僕のこと、嫌い···?」 「嫌いじゃないよ」 「好きって、言ったから、困ってるの···?」 「困ったってのはあるけど···別に迷惑だとは思ってないし、好かれて嫌な人なんていないでしょ。そんな泣きそうな顔しないでよ」 頬に手を添えて顔を近づける。 冷たい頬が俺の手の熱を奪っていく。 「今日、日向のこと、抱いてもいい?」 「っ···、まだ···や、だ」 「あっそ、じゃあ我慢するよ」 添えていた手を離して立ち上がる。 ボーッと俺を見上げてる日向に行こうか、と手を差し出す、戸惑いながら手を掴んだ日向に「何もしない、約束するよ」と微笑んだ。

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