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第10話 太陽side

1度連絡が来て以来、架月との連絡が途絶えてしまった。 母さんはあの日から俺とも話してくれないし、俺もイライラとしてしまって親父との衝突も多くなった。 「お前も出て行ってくれていいんだぞ!!」 「俺が何かしたのかよ!!」 突然親父に怒鳴られて、怒鳴り返すと物が飛んできた。 こんな架月もいない、ただ八つ当たりをされる場所にいても無意味だと思って俺も財布と携帯だけを持って家を出る。 「···架月はどこ行ったんだ?」 そんなことを考えながら適当にぷらぷらと道を歩く。 緑のフェンスが両端にある比較的に人通りの少ない場所、音もなく静かだから落ち着く。 そんな時前からフラフラっとタバコを吹かしながら歩いてくる明らかに年上のやつがいた。タバコを地面に落としそれを踏んで火を消す、こっちに向かって進んできたかと思えば突然転けて「は···」と小さく息が出た。 「大丈夫か?」 「···あ?俺はいつでも大丈夫だっつーの」 「あっそ」 黒髪の鋭い三白眼をした男。 隣を通り過ぎようとすると腕を持たれ強く引かれた。 「お前、似てるな」 「···誰に」 俺が似てるのって、双子の架月ぐらいだと思うんだけど。 「俺の···前の、前くらいの恋人」 「あっそう。それだけ引き止めたのか?」 「だってすげえ綺麗な顔してたから。」 そのまま強く引っ張られ暗い細い道に連れて行かれる。 壁に体を投げられて強く背中を打った。そのまま壁と男に挟まれる。鼻を掠めるタバコの匂い。全然嬉しくない。 頬に男の温かい大きな手が添えられる、だんだん顔が近づいてきて、あ、キスされる。って思ったのと同時、唇がくっついた。数秒そのままで、それから少し離れて、目が合う。 「逃げないのお前」 「別に」 「···名前は?何ていうんだ」 酷く喉が乾いてるような気がする、溢れる唾液を飲み込んで声を出した。 「太陽···」 「太陽な、俺は朧(おぼろ)。お前のこと飼ってやるよ」 ニヤッと笑った朧はまたキスをしてくる。 不思議と嫌な感じはしないし壊れ物に触れるような、優しいキスで少しは存在した”逃げる”って考えも全て、綺麗さっぱり無くなった。

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