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第18話

ひどく疲れた顔をした日向は目を覚まして俺を見てふわっと笑った。 「架月っ」 「何?」 「ふふっ···僕、架月のこと、大好きだよ」 「ふーん、俺はそんなこともないけど」 そう言っても未だに笑ってる日向に少し違和感を覚えて、けれど気のせいだろうって小さく頭を左右に振り日向の伸ばしてきた手をパシッと掴んだ。 *** 「架月、架月!」 「何」 あの日から数日。しばらくつけてなかった携帯の電源をつけると結構な太陽からの連絡が来ていて少し申し訳ない気持ちになる。届いていたメッセージを適当に読んでいた時、日向が俺の背中に乗ってきてねえねえってしつこく呼びかけてきた。 「買い物行こう?」 「やだ」 「何で?」 「面倒だもん、行くなら一人で行って。それか俺が一人で行ってくる。」 面倒なのは買い物に行くことじゃなくて日向と二人で出かけることだ。 最近外に出るとやたらと腕を絡ませてきたりキスをしようとしてきたり、まるで俺が日向のものだって周りに見せつけるような行為をされて、別に俺は日向のものではないからそうされるのが面倒臭くて鬱陶しくてたまらなく思えていた。 「···じゃあ、行ってきて」 「うん、何買ってこればいいの」 はっきりお前と行くのは嫌だって言ったようなものだから日向も顔を歪ませて買い物のリストを渡してきた。 「早く帰ってきてね」 「うん」 「寄り道、しないで」 「わかったよ」 渋々っといった感じに手を離した日向に小さく笑いかけてから外に出る。 スーパーに行く途中にまだメッセージ全部は見てなかった。と携帯を見ているとビックリする内容が書かれてあって足を止め、目を見張った。 「···太陽も、家出したの···?」 不思議と、不安とが混ざって携帯を持つ手が少しだけ震える。急いで太陽に電話をかける、ザワザワとノイズが聞こえてすぐ、「はーい」といつも通りの太陽の声が聞こえた。

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