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第24話 架月side
「遅いよ」
「ごめんって」
「何してたの···?」
太陽に会った後、買い物に行って家に帰ると日向が怒っていた。面倒だから謝ったけどそれじゃあ怒りは収まらないみたい。鬱陶しいなぁ。
「何でもいいでしょ?腹減ったの?ならご飯作ってあげるからもう怒らないでよ」
「お、怒ってないよ!」
「怒ってるだろ、鬱陶しい」
「···っ、だ、ってっ」
あ、やばい。
と思ったのはいいけど、時既に遅し。
日向を見ると大粒の涙を目から溢れさせていた。
「もう、帰ってこないんじゃ、ないかって、不安、だったんだっ」
「···············」
「ひっ、く···」
「ここから出て行く時はちゃんと言うし」
「そんな、こと···言わないでよぉ···」
本格的に泣き出して面倒に思いながらも日向を抱きしめてよしよしと背中を撫でた。
「もう泣かないでよ」
「んっ···か、架月···!」
「何」
「好き、って、言って欲し···」
「···それは無理、だって好きじゃない」
はっきり言うと顔を歪ませ「そうだった、ね」と呟いた。これ以上俺がここにいても日向を傷つけるだけだ。わかってるからここから早く出て行かないと行けない。と少し焦ってる。
「それ、でもいいんだ···」
「よくない。日向は日向を大切に思ってくれるやつと一緒にいないといけないんだよ」
「やだ、よ···架月ぃ···」
日向を自分から離そうと思っても離れてくれない。参ったなぁ、って溜息を吐くとそれに過剰に反応して俺を見上げた。
「俺、架月が言うようにするから、悪いところ、言って···っ!ちゃんと、直すからっ」
「そういう問題じゃないし、そんなことしても俺は好きにならないよ。」
面倒くさい。無理矢理日向を自分から離して玄関に行き家を出る。後ろから名前を呼ばれたけど無視した。
日向が落ち着いた頃に帰ろう、俺も言い方が悪かったからそれもちゃんと謝ろう。
少し沈んだ気分で暗くなった道を歩く。
繁華街に足を踏み入れて少しすると「おい!羽島だぞ!!」と声が聞こえてきて振り返る。
「テメェこの前はよくもやってくれたな!!」
「今日はタダじゃおかねえぞ!!」
そんな言葉を吐く男たちが1、2······5人。
また、面倒だなぁ。そう思いながらも人通りの多いここで暴れてちゃ迷惑だし、と裏道に足を向ける。
「逃げる気か!!」
「おい!ビビってんのか!!」
迷惑ってことも考えられないクズ共が俺の後を追ってくる。裏道で足を止めて振り返ると息を切らした男達がそこにいて、体力ないなぁ。って様子を見ていた。
「さっきお前ら、この前はって言ってたけど、もう記憶にないんだ、ごめんね」
わざと煽るように言葉を吐けば馬鹿共は安い挑発に簡単に乗ってくれて全員が次々と俺に向かってくる。
1人ずつ的確に急所をつくと倒れていって結局そんなに時間もかからないで俺以外の奴らが膝を地面についていた。
「数でも勝てないんだね、お前ら弱すぎだろ」
「て、めぇっ」
ケラケラ笑ってると「おい!」と聞いたことのある声が聞こえて体が動かなくなった。その声の主はそのまま「もう、面倒なんだけどー!お前らのせいで俺の自由の時間が減るんだからね、いい加減にしてほしいよ」って理解し難いことを言い出す。
いやでも待て、そうじゃなくて。
足音がだんだんと近づいてくる。
それに連れて俺の鼓動も速くなる。
「困るんだよね、仕事増やさないでよ」
1つだけ、ポツンと立ってる街灯がそいつを照らす。
その顔を見た途端、全身から力が抜けそうになってグッと足に力を入れた。
「子供はもう帰る時間でーす。」
ヘラッと笑った顔は、あの日から全く変わらないまま。
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