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第25話
なんとも言えないそいつの様子に俺を潰そうとしてきた奴らは逃げ出した。
ずっとそこに立っている俺を今、あんたはどう思ってるんだろう。
「あ、れ···もしかして、架月···?」
「ま、もる···」
そこに立っていた太陽と同じ金髪の、俺が初めて心を許した相手···赤石真守。
「久し振りだねぇ」
作ったような笑顔で俺のそばに寄って手を伸ばそうとしてくる。それを避けて後ろに退くと悲しそうに笑って「今はもう羽島くんの家にはいないの?」ってどうでもいいことを聞いてきた。
「············」
「ねえ、太陽は?」
「············」
「···ごめんね。急に消えたこと、怒ってるよね」
何も言わない俺にそう言った真守。けど、別に怒ってるわけじゃない。ただ悲しくて、苦しくて、心を許していた自分が惨めに思えて、どうしようもなくなったんだ。
「最近、双子の奴らがここら辺で暴れてるって噂、聞いてたけど···もしかした架月達のこと?」
「っ、」
「···そうなんだ。前はそんな事なかったんじゃないの?もしかして、俺のせい···でもある?」
そう聞かれてカッとなって真守に詰め寄り胸倉を掴んだ。
「お、前のせいでっ」
「架月···?」
「もう、誰も好きになれないっ」
声が震えてる、涙が勝手に出てくる。
手を離してそのまま突っ立ってると真守に「ごめんね」って謝られた。そんな言葉いらない、そんなもので俺と太陽は救われるわけじゃない。
「嫌いだ!お前なんてっ、2度と会いたくないっ!!」
「···そっか、わかった、もう2度と会わないよ」
叫ぶと悲しそうにそう言った真守はごめんねってまた呟いて道を引き返す。
「あ、そうだ。このままじゃ架月も太陽も、浅羽組に怒られるから気をつけて。浅羽だけじゃなくて桜樹にもお世話になるかもしれないよ」
「···関係ないだろ」
「関係あるよ。俺は浅羽にも桜樹にも所属してるからね」
その言葉だけ残した真守、真守はあんな簡単に言ったけど俺にとっては衝撃的で。背中にゾクゾクと嫌な感覚が走った。
だって、浅羽組といえば、全国でも有名な極道の組織だし、桜樹組といえば、その浅羽組についている極道の組織だと知っていたから。
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