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第40話
どうやらそのまま眠ってしまったみたい、目を開けたら体の怠さが一気に襲ってきた。
「んー···」
唸りながら起き上がると兄貴がいなくてあれ?って部屋中を見渡す。仕事に呼ばれたのかな、とか思うとなんか···寂しくなっちゃって無意味にテレビをつけた。
「寂しい···」
バライティ番組を大音量でつける。なのに面白いと思えないし、いつの間にかそんな言葉を呟いてソファーに置いてあるクッションに顔を埋めた。
ガチャって玄関から音がした。
兄貴が帰ってきたんだと分かってソファーから急いで降りて玄関に走る。
「お、ただいまッ!?」
「どこ行ってたの!」
兄貴に抱きついてその匂いを嗅ぐ。
そんな俺を眉をよせて見る兄貴は「ちょっと行かなきゃいけねえとこがあった」って俺の背中をポンポン撫でた。
「何だよ、どうした?」
「···寂しかった」
「そりゃ悪かったな」
兄貴から離れてリビングにいきテレビを消す。
そのままソファーに座ってボーッとしてると目の前にコーヒーが差し出されて上を向く。兄貴と目があって小さく笑うと兄貴は口を開いた。
「明日からも家にいたほうがいいか?」
「出来るならいてほしい、かも」
「···ちょっと電話してくる」
「ん」
兄貴が離れていく。それさえも不安に思って背中を向ける兄貴に手を伸ばす。力無く腕を下ろして、俺は何してるんだ。って頭を抱えた。
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