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第48話 架月side

「どうした」 太陽から電話が掛かってきて、それに少しでも嫌だなって思ってしまった自分がすごく嫌いになる。 言葉じゃない言葉を叫んで蹲る俺に、兄貴が「落ち着け」って言って背中を撫でてくる。だけど落ち着くどころか呼吸は荒くなって苦しくてたまらない。飲み込めない唾液が口端から零れた。 「架月、ゆっくり息吐いて、吸って」 「っ、ぁ···あ···」 「いい子だな」 言われた通りにゆっくり呼吸を繰り返すと頭を撫でられる。だんだん落ち着いてきて床に寝転ぶ俺にサッと水をくれた。 「ちょっと寝るか?」 「···ごめん、なさい」 「悪いことしてねえだろ。」 「にい、ちゃ···っ」 手を伸ばすと掴んでくれる。視界がぼやけて目の奥が熱くなって涙が溢れる。 「隣にいるから、ちょっと眠れ」 「···っ、ふっ···っ」 「怖いのか?」 「ちが、う···自分が、嫌だ···っ」 そう言って手を握る力を強める。 こんな、自分でも愛してほしくで、誰かに隣にいて欲しくて。 「お前が自分のこと嫌いでも、俺はお前のことを大切だと思ってる。」 「ほんと···?」 「本当だ、だから安心しろ」 お前から離れたりしない。そう言って脱力しきってる俺を抱き上げてベッドに連れて行く。優しくベッドにおろしてくれた兄貴はそのまま隣に寝転んで俺の腹辺りをポンポンと一定のリズムで軽く叩いてくれる。 小さい頃、母さんによくしてもらってたっけ。そんなことを思ってるといつの間にか瞼が重たくなってフッと意識は落ちていた。

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