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第49話
体がやけに重たい。
動くのが億劫で首だけ動かして横を見たら兄貴が寝息を立てて眠ってた。時計を見たらまだ、朝の10時。そんなに眠ってなかったみたい。
兄貴の方に擦り寄って俺と兄貴との間にできていた隙間を無くす。兄貴の熱が俺に移って、すごく温かい。
「···ん、架月···?」
「あ、ごめん···起こしちゃった···?」
「いい···どうした。寒いのか?」
「何でもない、けど」
すごく温かいから離れるのが嫌で、兄貴の体に腕を回した。嫌がることも拒否する言葉も言わない兄貴に甘えてはぁって、息を吐く。
「寝惚けてんのか?」
「ううん、ちゃんと起きてるよ」
ああ、今寝惚けてるってことにしとけばこのままキスできたかもしれない。熱くて甘い熱が欲しい、その相手は誰でもいい、だから正直兄貴でも全くもって問題ない。
「──···ねえ、やっぱり寝惚けてる」
「はぁ?」
顔を上げて綺麗に整ってる兄貴の唇に自らのそれを重ねた。驚いて固まる兄貴を見ながらそれを離すと俺は起き上がってリビングの方に向かう。
「え、ちょ、架月···?」
「···本当はもっと、いっぱいしたいけど、やめとく」
兄弟でこういうことって、ダメなんだもんね。
けどやっぱり目で確かめられる愛情が欲しくて感情が疼き出した。1人リビングに行ってそれを何とか抑えようってソファーに寝転び違うことを考える。いつもこうなった時我慢なんてしないでいたからどう対処したらいいのかわからない、ネットで調べてもわかることじゃないと思うし、ぐっと体を小さく丸めた。
「──架月」
「···あ、何?」
「お前は、好きでもない相手にあんなこと、できるのか」
兄貴がいつの間にかそばに来ていてそんなことを聞く。ふって自傷気味に笑って頷くと顔を歪ませて俺の目の前に目線を合わせるためにしゃがみこんだ。
「それ、やめろ」
「は?」
「そんなこと繰り返してるから、辛くなるんだろ」
そう言って俺の体を抱きしめる。そんなこと言われたの初めてで何で返したらいいのかわからなくて「やめろ」ってもう1回耳元で言われたら頷くしかなかった。
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