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第53話
「太陽くーん!お兄さんもう出掛けちゃうよー!お見送りしてくれないんですか?」
「くっそ、もう!早く行けよ!トイレ行きたいんだからさ!」
「漏らす?」
「漏らさねえよ!早く行ってお願いだから」
「キスして」
「ああ、もう!!」
唇に触れるだけのキスをする。満足げに笑ってから家を出た朧。鍵を閉めてトイレに走って用を足す。解放されてトイレを出て溜息をつきながらベッドに寝転がる。
「んぁー···なんか、疲れたぁ···」
寝転んでボーッとして時間を潰す。架月はどうしてるのかな、いつもの架月に戻るにはどれくらいの時間が必要なんだろう。
「···兄貴がいるから、心配いらねえか」
いやでも、あの兄貴はたまに抜けてるし······
1つのことを考えたら他の余計なことも考えてしまう。頭をフルフル左右に小さく振って目を閉じた。
「────いや、寝ちゃダメだ」
まだ寝ちゃダメだぞ俺。って起きてご飯を作る。俺だけが食べるから適当なのでいいやって卵かけ御飯を作ってささっと食べて洗い物をして風呂を沸かす。寝そうなのを我慢して風呂に入って、朧に渡された黒のスウェットに着替える。
「煙草と···朧の匂いだ」
服から香る匂いが落ち着く匂いで、安心して眠れそう。ここに来てから就寝時間がやたらと早くなった気がする。9時にはもう瞼が重たくなってくるからそれまでにベッドに入って携帯をいじった。
「兄貴に連絡しよう」
架月は大丈夫なのかって、泣いたりしてないかって。
メッセージを打ってる途中、瞼が落ちてくる。もう無理だと思ってメッセージを諦め携帯をほっぽって目を閉じた。
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