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第59話
「本当に大丈夫なのかよ」
「大丈夫だってば、心配しすぎ」
「···勝手に出て行ったりするなよ。出かける時はメッセージ入れろ」
「それ言うの何回目?わかったって!いってらっしゃい!!」
兄貴がどうしてもって仕事場に呼び出された。どうやら兄貴の仲間が下手こいたらしくてそれの尻拭いだって。上の方の立場にいる人ってそういうのがあるから大変だなぁ、とか思いながら兄貴が出ていって静かになった部屋でポツンと1人ソファーに座っていた。
少しだけ不安なのは、その尻拭いってやつは兄貴が怪我をするようなことじゃないのかってこと。もし怪我してたらどういう顔でなんて言えばいいのかわからない。···いや、本当はただ痛い思いをして欲しくないだけなんだけど。
そういえば、いつか兄貴と一緒に真守に会いに行きたいなって思う。太陽はきっとまだまだ気持ちの整理がついてないだろうし無理だろうけど、俺は兄貴が隣にいたなら真守に恨みなんて感じないだろうから。そんなことを考えてるといつの間にか温かい気持ちになる。
これは全部、兄貴がくれたものだ。そう思うと恥ずかしくなって、「うわー!!」と奇声をあげながらクッションに顔を埋めた。あの兄貴と、そういう事してるんだもんな、そりゃあ恥ずかしいに決まってる。ずっと一緒にいた太陽とすらそんな事してないんだもん、なのに、あの!!兄貴と!?······ああもう、太陽になんて言おう。
きっと太陽にそれを言ったら「え゛」ってなんとも言い難い表情をするんだろうな。
考えたら考えるだけ羞恥心が湧いてきてもうダメだ、何も考えないでいよう、とバタンとソファーに倒れ込む。
「···早く帰ってこないかな」
兄貴と一緒にいる時間をこんなに楽しく嬉しく感じるなんて···思ってもみなかった。兄貴が帰ってくるのが待ち遠しくてたまらない。
「掃除してたら褒めてくれるかな···」
「いや、ご飯作ってた方が喜ぶ···?」
「······もう、どっちともやっちゃお」
兄貴の喜ぶ顔が見たくて、自問自答を繰り返して勢い良くバッと起き上がった。
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