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第70話

最近、太陽から頻繁に連絡がくる。 面倒とかそういうのじゃなくて、太陽自身も何か嫌な予感がしてるのかもしれない。 「兄ちゃん」 「んー?」 テレビを見てた兄ちゃんに背もたれを挟んで後ろから抱きつく。 「ちょっと出かけてくる」 「どこに」 「太陽のところ」 「ちゃんと帰ってこいよ。」 「うん」 玄関まで見送ってくれる兄貴に手を振って家を出る。太陽にはここに来てって連絡も入れたしきっと、会えるはず。 太陽の身に何も起こらないで欲しいって願いながら道を歩いて、やっと着いたそこには太陽と···初めて見る背の高い黒髪の男が立っていた。───いや、多分初めてじゃない。一度、道ですれ違ったことがある気がする。 「太陽」 「あ、架月!」 ふって笑った太陽。 俺と一緒にいた時と笑い方が全く違う。それは隣にいる男のせいなのだろうか。 「···そいつ、誰」 「前に言ったろ?こいつが朧」 「ふーん···どうも」 ギラギラとしてる目、何であんた何かが太陽とここにいんの。 思ってることがわかったのか太陽は「俺がついて来てって言ったんだ!」と朧の手を握り、顔を見て笑う。 そしたら朧もフッと柔らかく笑って太陽が握る手に力を入れたのがわかった。 「···元気なんだ、ならいいや」 「え、今日なんで呼んだんだよ」 「話したいことがあった。でもいい」 はぁ、と息を吐いてググッと伸びをする。 太陽の方を見て笑って見せて、朧の方を見て「なあ」と声をかけた。 「あ?」 「あんた、太陽に何かしたの」 「はぁ?」 何だこいつ、っていう目で見てくる。それは太陽も同じ。何言ってんだと不思議そうにして、それから「架月!」って俺の名前を大きな声で呼ぶ。 「俺は朧に何もされてねえし、何でそんなこと言うんだよ!」 「···俺、あんたと仲良くなれる気はしないな」 太陽の言葉を無視して朧に言葉を投げる。 そしたら「奇遇だな」って嫌な笑顔を浮かべて俺の方に手を伸ばし胸倉を掴んだ。 「クソガキ、調子乗ってるなよ」 「はぁ?それはあんただろ」 何でかな、何でかわからないけど、俺の太陽を取ったこいつが嫌いで嫌いでたまらない。 「2人とも、やめろって!」 「···悪い」 太陽の言葉に手を離した朧を睨みつけてると携帯が震える。画面を見たら何故か燈人からで眉を寄せた。あの人から電話してくるなんて···と急いで電話に出ようと思ったけど太陽たちがいることを忘れてた。 「電話だろ?出ていいよ」 「ごめん」 少しだけ2人から離れてその電話に出た。

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