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第71話

「はい」 「おう、今日一緒に飲もう」 「俺一応未成年だけど。バカじゃないの」 「俺の家来いって。真守もいるぞ」 「3Pでもするの?」 「ぶっ殺すぞ」 大きく低い声。ちょっと離れたくらいだったからその声は太陽にも聞こえたみたいで心配そうに俺を見てる。 「怒んないでよ」 「···で、来んのか?」 「んー···兄貴と相談する。兄貴が無理そうって判断したら行かない」 「じゃあいけそうってことにしておけって命令しておく」 「いいけど、俺が真守に何しようとしても怒らないでよ。」 俺が真守って名前を出したから太陽は驚いたらしい。「架月···」と俺の名前を口パクで呼んでる。 「そうなったら止める」 「はいはい、あんたの家どこ」 「羽島に聞いたらわかる。じゃあな」 面倒臭かったから兄貴に丸投げしたんだな。 電話を一方的に切られたから仕方なく携帯をポケットにしまった。 「架月···真守って、どういうことだ」 「今の電話は真守の恋人から。俺、あの人と会って話ししたんだ」 「何で···」 「きっかけは俺が街で喧嘩したせいで真守が入ってる組に目付けられた。それで連れて行かれた」 太陽の声が震えてる。 衝撃的だったのかな、しかもこれから真守に会いに行くのを示唆させるようなことを話してたんだ。そうなるのも仕方がない。 「架、月は···真守を許せたのか···?」 「わかんない、だから会いに行くんだよ」 「は?え、なんだそれ。···俺、もう真守も、架月も···わかんねえよ···」 悲痛な声でそう言った太陽。本当に誰よりも1番、真守に隣にいて欲しかったのは太陽だったのかもしれない。 朧の手を握り振り返って「帰る」と進みだす。 朧は戸惑いながら泣きそうになってる太陽の頭をよしよしと撫でて一緒に帰って行った。 俺はその場にポツンと残ったまま。

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