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第79話 架月side
「何の力もないお前が、どうやって太陽を助けるんだ」その言葉が頭の中で何度もぐるぐると回ってる。疲れてるのかまだ隣で俺を抱きしめて眠ってる兄貴は眉間に皺を寄せていた。
「っ、うわ」
ちょっと体の力を抜いたらドロッと中から吐き出されたものが出てきて慌てて近くにあったティッシュを取り後孔を押さえる。
「兄ちゃん兄ちゃん···!」
「ん···」
「ごめん、ちょっと離して。出てきちゃった」
「···ん。悪い、風呂な」
眠たそうな目をしながら起き上がって俺を抱き上げる。
寝起きなのによくそんな力が出るもんだね。そんなことを思いながら連れてこられた風呂で体を綺麗に洗ってくれた。
「眠い···」
「だろうね。目、ちゃんと開いてないよ」
「寝そう」
「だめだめ!ここで寝ないで!」
俺にもたれてくる兄貴を外に出して濡れた髪と体をタオルで拭く。一緒にリビングに行ってソファーに座るとそのまま俺の方に倒れてきて俺の膝に頭を置いて寝だした。
「···寝るの?」
「ん」
「おやすみ」
「1時間で、起こしてくれ」
「わかった」
すぐにスースー寝息を立てた兄貴、今度は眉間に皺は寄ってなかった。
太陽のことは俺がなんとかするって言ってた、俺たちのために色々考えてくれてるんだ。そう思うとこの人はすごく優しくて器の大きい人なんだなと人として尊敬する。
「兄ちゃん···、好きだよ」
それは心からの言葉で、眠る兄貴の頬を撫でた。
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