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第84話
「へえ、羽島さんが熱か」
「あんた架月くんのお兄さんと面識あるの?」
「ない、ただ羽島は桜樹の幹部だろ。それくらいは覚えてる」
兄貴の眠る部屋から場所を変えて、とある部屋でコーヒーを飲みながらそういう命さん、少し離れた場所で俺はユキくんと遊んでいた。
「あのね、架月くん···」
「ん?」
「架月くん、暴れてたの···?」
「え、っと···、今はそんなことないよ」
さっきの話を思い出したのかユキくんが純粋な目でそんなことを聞いてくるからちょっとビックリした。
暴れてたって···真守のことを許せてなかった頃の話だ。あれはもう忘れてしまいたい恥ずかしい過去でもある。
「喧嘩、するの···?」
「今はしない」
「もう、やめたの···?」
「うん、痛いからね」
そう言うと悲しそうな顔をしながら「痛いの、や···」と言ったユキくんにそうだよね、って笑ってみせた。今なら自分のためだけに振るう暴力なんて格好悪い。としか思えない。
「ユキくんは?いつも何してるの?」
「えっと、シロくん···僕の飼ってる猫さんと、遊んだり···」
ユキくんの普段のことを聞いてると少し不思議になることがあった。そもそも、ユキくんって何歳だ?話し方もたどたどしいし···
「架月、くん?」
「ねえ、ユキくんって何歳?」
「えっと···14、さい」
「···そうなんだ」
14歳?それにしては身長も···そう思ったところで行き着いたのが虐待や病気っていう答え。でもユキくんは健康そうだし、病気ではなさそうだ。なら虐待?もしそうだとして命さんにはえらく懐いてる。なら虐待されてたユキくんを命さんが助けた、とか?
「架月くん···?」
「················」
「どうしたの···?」
「あ、ごめん···」
考えてたらユキくんが不安そうに俺の顔を覗いてくる。ふふっと笑ってその頭を撫でると嬉しそうに口元に弧を描いた。
「架月くんは、何歳、なの···?」
「17だよ」
「おっきいね!」
「そうかなぁ?」
そんな話をしていると携帯が震えた。確認したら兄貴からの電話で起きたのか。と急いで立ち上がり兄貴のいる部屋に向かった。
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