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第91話
「疲れた!」
朧にもたれ掛かると「はしゃぎすぎだ」と言われてケラケラと笑う。そうだなぁ、こんなにはしゃいだのは久しぶりだ。
「今日は帰りたくない」
「ああ」
「···ここにいたい」
朧は何も言わずに俺の頭を撫でて、その手が頬を滑り顎を上げさせられる。キスをして抱きつくと「たまには休むことも大切だもんな」と俺の背中をトントン撫でる。
「ずっと頑張ってるお前には何も考えないで休む時も必要だ」
「···俺、頑張れてないよ」
「そんなことない、俺が保証する」
朧の胸に顔を埋めて泣きそうになるのを堪えた。少しして「いくか」と立ち上がった朧。どこに行くの?とか、そんなのどうでもよくて。朧が行こうとする場所だ、きっと楽しいに違いない。
「──ここ···?」
「ああ、ここ」
「···ラブホじゃん」
「そうだな」
連れてこられたそこで、きっと滅茶苦茶に愛されるんだろうって思って、口元がふっと緩んだ。
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