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第99話 海side

架月が出ていった後、後悔が押し寄せた。 そりゃあまだ17歳の架月にあんな言い方をしたら反発しちまうだけだ。頭を抱え椅子に座り溜息を零す。 もっと違う言い方があったよな、と反省して、架月を探しに行くかと腰をあげる。 架月が行きそうなところってどこだ?そんな場所も思いつかなくて俺は架月のことをまだ理解できてないようだ。 小さい頃、太陽と架月は少し変わってた。 それは自分が誰なのかをわかってほしかったからなのかもしれない。さっきの架月の悲痛な叫びを聞いて、俺も母さん達も間違えていたことはわかる。今からでも遅くはないと思いたい、けど架月達からしたら今更何を、って感じなんだろう。 「まあ···そうだよな···」 今更理解しようとしてもきっと太陽も架月もそんな俺たちを理解しようとはしないだろうから。 「難しいな···」 何が正解なのか、わからない。 はぁ、と時計を見るともう架月が出ていってから20分が経ってる。むやみやたらと探しても意味がないのはわかってるけど、とりあえず架月に謝らねえとって玄関に向かう。 そんな時携帯が震えて誰だ?と確認したら若からのメッセージが来ていた。 「浅羽の黒沼さん、と···?」 どうやら架月は今、浅羽組の黒沼さんと一緒にいるらしい。黒沼さんから赤石に、赤石から若に連絡が入ったんだろう。あの人といるなら安心だ、胸を撫で下ろしてリビングに戻る。 きっと今俺が出ていってあいつに帰ってくるように言っても無駄だろうから自分から帰ってくるのを待ってよう。 帰ってきたその時はきっともう落ち着いていると思うから。

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