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第108話

多分朧はキスマークを探してたんだと思う。 それの確認が終わった後、散々酷く抱かれて疲れた俺は風呂にも入れないままベッドで布団に包まっていた。 「···痛い」 体も、心も痛い。 溢れてくる涙が止められなくてシーツが濡れていく。 「泣くな」 「···ごめ、なさ···っ」 全部を言い終わる前に頭を撫でられた。 え、と顔を上げると悲しそうに眉を寄せて笑ってる。 「痛かったよな、ごめん」 「あ、っ···あ、の···朧」 「ん?」 「俺、本当に、何もしてな、い」 「ああ、何もねえか服脱がせた時にはわかってた」 そう言われてじゃあ何で!と声を荒げそうになるのを堪えて朧をじーっと睨んだ。 「怖かったんだ、お前がいなくなるんじゃないかって」 「···だからって、こんなの···!」 酷いじゃないか。 布団を頭まで被って痛む体を丸める。 「悪かった」 「もう、嫌いだっ」 「ごめん」 「うるさい!!」 顔をシーツに押し付けて震える。 もう、痛いのも何もかも嫌だ。こんな思いをするならこんな辛いなら、もう、此処には居たくない。 「もう2度とこんなことしねえから」 「そんなの口先なら何とだって言えるよっ」 「悪かった、太陽···頼む、顔見せて」 どの面下げてそんなこと言ってんだ。って思ったけど、俺は本当に朧のことが好きらしい。布団をずらして顔を出すとどうしたらいいのかわからない、そんな顔をして俺を見つめる朧と目があった。 「朧は、俺のこと好き···?」 「ああ、好きだ、愛してる」 「···ならもう、2度と、こんなことしないで。···それと、俺を1人にしないで」 朧は頷いて「一生誓うよ」と俺の濡れた頬を撫でる。 「寂しいのは嫌だ」 「ああ」 「痛いのも、辛いのも」 抱きしめられて目元に残ってた涙の雫を吸われる。そこに何度かキスを落とされて最後には柔らかい唇が俺の唇と合わさった。

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