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第115話
夜になって父さんが帰ってきて、当たり前のように「おかえり」と言われ、また驚いた。
太陽はキョトンとした顔をして俺の腕を掴む。
別に怒られることもなく、どこかに旅行に行ってて帰ってきた時のような、そんな感覚になった。
「架月ー!ちょっと手伝って!」
「え、うん」
「太陽はお風呂洗い!」
「あ、ああ」
母さんに呼ばれてキッチンの方に行くとハンバーグを作るのか肉を捏ねてる。
「何手伝ったらいいの」
「ううん、ちょっとこっちに来て欲しかったの」
「···何?」
「喧嘩、まだしてるの?」
心配を含んだ目が俺を見て、小さく笑って首を振った。
多少荒れた時はあったけど今はもうそんなことない。
「よかった!どこか怪我してたらどうしようって思って···海とは仲良くなってるの?」
「うん、兄ちゃん優しいしね。多分兄ちゃんがいたから暴力もやめれたと思う」
「そう···海に感謝しないとね」
肉を捏ね終わって形を作り温めて油を引いたフライパンに4つのハンバーグを乗せる。
「明日から、どうするの?」
「···学校、ちゃんと行くよ」
「そう···あんた達はやるって言ったら何が何でもやり通す子だからね、周りの子より遅れててもきっと追いつけるわ」
「当たり前でしょ、決めたことはやるよ」
手を洗う母さんに笑いかけながらジューっと焼けるハンバーグを眺めた。
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