115 / 203

第115話

夜になって父さんが帰ってきて、当たり前のように「おかえり」と言われ、また驚いた。 太陽はキョトンとした顔をして俺の腕を掴む。 別に怒られることもなく、どこかに旅行に行ってて帰ってきた時のような、そんな感覚になった。 「架月ー!ちょっと手伝って!」 「え、うん」 「太陽はお風呂洗い!」 「あ、ああ」 母さんに呼ばれてキッチンの方に行くとハンバーグを作るのか肉を捏ねてる。 「何手伝ったらいいの」 「ううん、ちょっとこっちに来て欲しかったの」 「···何?」 「喧嘩、まだしてるの?」 心配を含んだ目が俺を見て、小さく笑って首を振った。 多少荒れた時はあったけど今はもうそんなことない。 「よかった!どこか怪我してたらどうしようって思って···海とは仲良くなってるの?」 「うん、兄ちゃん優しいしね。多分兄ちゃんがいたから暴力もやめれたと思う」 「そう···海に感謝しないとね」 肉を捏ね終わって形を作り温めて油を引いたフライパンに4つのハンバーグを乗せる。 「明日から、どうするの?」 「···学校、ちゃんと行くよ」 「そう···あんた達はやるって言ったら何が何でもやり通す子だからね、周りの子より遅れててもきっと追いつけるわ」 「当たり前でしょ、決めたことはやるよ」 手を洗う母さんに笑いかけながらジューっと焼けるハンバーグを眺めた。

ともだちにシェアしよう!