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第116話
久しぶりに食べた母さんの手料理と、久しぶりに味わった親の温かさに浸っていたけど、そろそろ帰らないと明日に響きそう。
「帰るのね」
「うん」
母さんと話してる太陽は制服や学校に必要なものをカバンに詰めて立ち上がる。
「また、たまに帰ってくる」
「いつでもおいで」
とっくに用意を終えてた俺は太陽の部屋のドアに寄りかかってそれを見てるだけ。
「架月もよ!」
「はーい」
「ちゃんと海の言うこと聞くのよ?」
「わかってるよ」
俺の隣に立った太陽、一緒に玄関まで行くと母さんと父さんが見送りに来てくれた。
「じゃあ、また」
「ええ、またね」
家を出ると冷たい空気が頬を撫でる。
振り返らずに道を歩いて少ししてから、頭上で光る星を見上げた。
「じゃあな」
「うん」
別れ際、柔く笑った太陽が俺に手を伸ばしてきた。
「また明日、学校でな」
「そうだね、また明日」
明日から、元の日常に戻るんだ。
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