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第122話

「架月くんって、弟の方なんでしょ?」 「そうだね」 「太陽くんのこと、たまに鬱陶しいとか思わないの?」 「思わないよ。俺、太陽いないと何もできないもん」 まあ、俺も太陽も1番は兄貴がいないと、なんだけど。 「ねえ、どこ行くの?」 「んー、太陽」 「あー?」 前を確認してから後ろについてきてた太陽を振り返る。 ニヤリと笑うと太陽が小さく頷いた。 「あれ、咲ちゃんに、香織ちゃん。双子と腕組んで何してるのー?」 前から嫌な笑みを浮かべてやって来たのは凛ちゃん。 凛ちゃんを見た2人はさっと顔色を青くして俺たちから離れた。 「ち、違うの、凛くん!」 「何が違うの?ねえ太陽に架月、何で2人がこの子たちと一緒にいるのさ」 内心、ケタケタ笑ってるんであろう凛ちゃん。 太陽と肩を組んで咲ちゃんと香織ちゃんを見て、綺麗な顔でにこりと笑った。 「前から思ってたんだよねぇ、ちょーっと顔のいいやつ見つけたら近づいて?相手も何だかんだで了承してくれるけどそれ、何でかわかる?お前らが丁度いいからだよ。」 カッと今度は顔を赤くした2人。その内の咲ちゃんは凛ちゃんに詰め寄るとその綺麗な顔を叩こうとする。それを止めて「ダメだよ、そんなことしちゃ」って言うと庇ってくれてるのかと思ったのか「この人酷い!」と俺に抱きついてきた。 「わぁ、架月そいつを庇うの?」 凛ちゃんの煽る声が聞こえてきて太陽を見るとうげぇ、と言うように顔を歪めてた。 「ねえ、咲ちゃん。俺さ、あんたみたいな子大っ嫌いなんだよね。」 「は?」 咲ちゃんが顔を上げて俺を見る。 「誰かをいじめて楽しんでる子、大っ嫌い。」 「あたし何もしてない!」 「え?俺、香織ちゃんから聞いてるよー?」 間延びした凛ちゃんの声。 勢いよく香織ちゃんの方を振り返った咲ちゃん。香織ちゃんはマズイと焦っていて、咲ちゃんはそんな香織ちゃんを睨んでいた。 「今度は何しようとしたかも、ぜーんぶ聞いたよ。何だっけ、トイレの個室に閉じ込めて、水でもかけてやろうか、だっけ。自分で開けれないように細工もしようとしてるんでしょ?すごいよね、そんなことに頭使うなら勉強しとけよ、お前頭悪いんだから」 容赦ない凛ちゃんの言葉。 俺から離れた咲ちゃんは香織ちゃんの存在を無視してどこかに走り去った。香織ちゃんを見ると呆然としていて「あらあら」と凛ちゃんが近寄り頭を撫でてあげてる。 「今度は香織ちゃんがいじめられちゃうね」 「や、やだっ」 「だよね。これで新奈ちゃんの気持ち、わかった?」 「は、い」 「うん、なら助けてあげる。」 凛ちゃんが香織ちゃんの手を掴んで「じゃあ俺たち行くねぇ」と手を振って廊下を歩いていく。 俺は今頃新奈ちゃんはもしかしたらいじめを受けてるかも。と心配になって新奈ちゃんの教室に向かった。

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