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第145話

「え、なんで?」 「何がなんで?」 「なんで香織ちゃんがいるの」 「俺の彼女だからだよ、ね、香織ちゃん?」 「は、はい」 昼休みになっみんなでご飯を食べる。 そこに何故か香織ちゃんがいて、凛ちゃんが動くたびにすごい怯えちゃってる。 新奈ちゃんも苦笑を零して俺の方に近づき「私の知ってる恋人は怯えたりしてないはずなんですが、どうでしょう?」と小さな声で言ってくる。その質問が面白くてケラケラ笑うと凛ちゃんが「ちょっとコショコショ話やめてよぉ」と俺に向かって紙くずを投げた。 「拗ね方が低学年の小学生だね」 「腹立つから殴っていい?」 「ダメダメ」 買ってきたパンの袋を開けてパンに噛み付く。 なんか香織ちゃん、初めて会った頃よりずっと可愛くなってる。髪も明るかった色から暗くなってて、化粧だって薄い。 ていうか凛ちゃんも新奈ちゃんも美味しそうにご飯を食べてるのにその香織ちゃんだけどうしようとオロオロしてた。 「香織ちゃん」 「はいっ」 「食べないの?」 「え、っと···」 「架月やめてくれるぅ?躾してるんだから」 「しつけ···?」 「そうそう、だってこの子俺がちゃんと教えてあげないと綺麗な言葉も話せないんだもん。」 だからって躾···若干引いてると香織ちゃんが顔を赤くして「やめてください···」と凛ちゃんに小さな声で言ってる。 「人にものを頼む時はどうするんだっけ?」 「···っ、お、お願いします」 「うん、わかった」 香織ちゃんの頭を撫でて「いい子だね」って褒めてる、咄嗟に二人から距離をとると新奈ちゃんも俺についてきた。 「お、おいてかないでください!」 「ごめん···あまりにも衝撃的で···」 「初めて見ました、あの···ああいう方···」 だよねぇ、と話してると「ちょっとまたコショコショ話!!」と今度は俺に近づいてきて頭を鷲掴みされた。 「ごめんごめん!痛いって!!」 「何?引いてるの?···まあいいけど。でも俺のおかげで香織ちゃんも前より可愛くなったでしょ?」 「···そ、うなのかな」 コクコク頷いて香織ちゃんの隣に戻って肩を抱き寄せる。 その時香織ちゃんは嬉しそうな顔をしてたけど、なんでかはわからなくて俺は軽く首をかしげる。 「褒めたら伸びるタイプなんだよ、この子」 「ああ、そう」 さっき頭を撫でられたのが嬉しかったのか。 心底どうでもよくなって残していたパンを食べて、早く昼休み終わってくれないかなぁと心から思った。

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