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第146話 太陽side
「え、帰ってこねえの?」
「ああ、ちょっと用事できた。」
「ふーん。わかった、気をつけて」
ある日、朧が朝早くに出て行った。
今日は帰ってこないらしい、どこに行って何をするのか、正直すごく気になったけど考えるのはやめて朝の準備をする。
さあ、学校に行こう。って立ち上がった時に架月から「今日は起きれない」ってメッセージが来たから溜息をついて、さっさと家を出て通学路を歩く。
学校について自分の席に座り机に顔を伏せて朧のことを考えてるとツンツンと背中を突かれた。顔を上げたらニヤニヤ笑ってる凛が「おはよー」って俺の顔を両手で挟んでくる。
「最近2人で一緒に来ないよねぇ。どっちかが来て、どっちかが休む。喧嘩でもしてるの?」
「してねえよ、たまたま合わねえだけ」
「ふぅん、ところで太陽は何を考えてたの?」
「いや···別に、何も」
「ならなんで今ちょっと目が泳いだの?」
綺麗な笑顔で見てくる凛に圧されて朧の名前も性別も出さずに話をした。
「お前ってそんなに重いやつなんだねぇ」
「え、俺って重い?」
「だって1日帰ってこないくらいでそんななる?俺はならないからさ」
別に心配しないだろ。って笑いながら言った凛に「それって本当に好きなのかよ」って聞いてみる。
「好き嫌いとかどうでもいいんだよ俺は」
「何だそれ」
「だから···別に好きとか嫌いとか、どうでもいいんだって。俺自身が相手をどう思おうが相手が俺を好きでいるなら俺は満足だよ」
「···それ、幸せか?」
「俺は幸せだね」
そう言った凛に嫌気がさした。
「初めてお前のこと嫌いだと思った」
「それは困るなぁ、だから今までこんな話しなかったんだよ。太陽って正義感強いし、その点に関して、俺お前のこと嫌いだよ。架月の方が付き合いやすいかも」
「別にお前に嫌われてもいいけど、架月のこと少しでも利用しようとか思ってるならぶち殺す」
「ハハッ!そんなことしないよー!利用するならもっとどうでもいい、使いやすいやつにするよ、バーカ」
ケラケラ楽しそうに笑う凛に嫌悪感を露わにしてると俺の肩をバシバシ叩いてきて。
重たい感じで始まる1日にため息が零れた。
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