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第149話
「ん···ぅ」
目が覚めて、瞬きをして、グイッと体を伸ばす。起き上がって周りを見るけど誰もいない。
「···帰ってきてないのか」
まだ6時だけど、2度寝する気になれなくて、朝ご飯を食べて連絡の1つとこない携帯を眺めることで時間を潰した。
***
────それは朝の8時頃。
ガチャ、と玄関の開く音がしてそっちに目を向ける。
ずっと会いたかった人がそこにはいて、思わず駆け寄って抱きしめた。
「お、太陽、悪いな。遅くなって」
「···朧」
「んー?」
朧の肩に顔を埋めてる。
香るのは煙草と、香水のキツイ匂い。けど確かに朧の匂いがしてるから安心できる。
「この···クソ!!」
「っえ!?」
思い切り頬を平手打ちすると何が起こったのかわかんねえって叩かれた頬を片手で触ってる。
「寂し、かったんだよっ!」
「た、太陽くーん···?」
「俺ずっと寂しかったのにっ、」
「···太陽、落ち着けよ」
頭をポンポンと撫でられる。
それに誘われるように目に涙が溢れてきて、ポロポロと零れた。
「···太陽くーん」
「何」
「とりあえず俺臭えから風呂入ってきていいか?」
「早く入れ」
「お口が悪くなったね?1日でこんな変わるか?」
「いいから早くしろ」
「···はぁい」
着替えを持って風呂に行った朧を横目に見て、はぁ、とため息をついて床に座る。「あ、学校」と思って携帯を開くと架月が「今日も行けない」と冷たくも感じる文が送られてきていた。
なんで俺はあんなに怒ってしまったんだろう。というか、今もなんだけど。どうしようもなく腹立たしくて、けどそれは朧の頬を叩いたからってスッキリするものでもなかった。自分が何をしたいのか、わからなくて頭がこんがらがる。
そういえば昨日、朧に帰ってこないって聞いた時から気分はだだ下がりだった。学校に行って、凛の価値観に俺は関係ないのにすごく苛立って、最後はあの喧嘩に照ちゃんからの説教。昨日人を殴ったせいで青くなってる拳は別に痛くないのに、なぜか心だけが痛い。
「上がった」
「···ん」
朧が風呂から上がってきて、床に座ったままの俺をみて「どうしたんだよ」と抱きしめてくる。止まってたはずの涙が、そのせいでまた溢れてきてグッと強く唇を噛んだ。
「太陽?」
「俺、寂しくて···凛も、バカだしっ、あいつらも俺を巻き込むしっ!!」
「おー」
「帰ってきても、朧いないし···やっと、帰ってきだと思ったら、こんな時間だし···っ」
「悪かったよ」
多分、朧は何の話かもわかってない。けど、とりあえず吐き出す言葉を全部聞いてくれるから少し落ち着いた。
顔を上げるとキスされて、じんわりと胸が温かくなる。
気持ちよくてそれに酔ってると体がふわりと浮いてベッドに連れてこられた。
「寝るの?」
「違う、今からヤる」
「え、やだ。俺まだ朧と話ししたい」
「後で」
激しいキスが降ってくる。
服の裾から手が入れられて胸に触れるとそこから熱が広がって頭がフワフワしてくる。気持ちいい、気持ちよくてさっきまでの嫌な感じが飛んでいく。
「っ、ぁッ!」
「今は気持ちよくなってろ。な?」
朧から与えられる熱に沈んだ。
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