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第150話

「で?何に怒ってたんだよ」 「···えっと、···わかんね」 「わかんねえの?わかんねえのに俺の顔引っ叩いたの?」 怖い、と俺を抱きしめながら言った朧に「ごめん」と返す。 「まあ、俺も悪いんだろうけどさ」 降ってくるキスを受け止めて離れていく朧にもっともっとと強請る。気持ちよくて目を閉じてると髪を撫でられて軽くクン、と引っ張られた。 「何···?」 「寝るなよ」 「寝ない。ねえ、もう1回、したい」 あんなにイラついてた理由がしっかりとわからないまま、今は満たされていている。すげえ気分屋だな、俺。とか思いながら朧に縋り付いた。 「おう、でも腹減った」 「···じゃあやっぱり寝てるから何か食べて」 「そこは俺もじゃねえのかよ。一緒になんか食おうぜ。だってもうすぐ昼だぞ?」 時計をちらりみたら本当だ、もう昼になる。 「俺がなんか作るからさ」 「うん。じゃあ俺風呂入ってる」 「あ、中···悪い、出しちまった」 「いいよ」 起き上がって風呂に行く。 中に出されたものをかき出して、体を軽く洗いあがった頃にはうまそうな匂いが香ってきていた。

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