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第156話

「お前高校生にしてはできんじゃん。」 「···っ、はぁ、」 一戦交えた結果俺の負け。 錦にも1度膝をつかせることができたからよっしゃ、と少しの達成感があると同時、悔しさが溢れてくる。 「錦、強いね、本当腹立つ···」 「自分が弱いからって当たってくんなよ。おーい、そこから水とってくれ」 俺と錦の試合を見てた周りの奴らが錦にそう言われて2本のペットボトルのミネラルウォーターを冷蔵庫から取り出して渡してきた。 「飲め」 「ん」 そのうちの1本を受け取ってゴクゴクと飲んで喉を潤す。 久々にあんなに燃えたから体は相当疲れてるようで立ち上がろうとすると足がふらっとしてさっきの竹内さんみたい。 「まあ、お前はここの下っ端よりは強いと思うし、また相手してやるからとりあえず今は休憩しとけ。」 「錦が疲れてないのがすごいムカつくんだけど」 「当たり前だろ!こんなんで疲れてたら多分俺はとっくに死んでる!」 頭をポン、と撫でられて「ちょっと休んだら幹部のところ戻ってこい」と言葉を残して錦はここから出て行く。その後姿が何だかすごくカッコよく見えて、あれ、錦ってそんなやつだったっけ。とか失礼なこと思って。 壁に凭れかかって溜息をつく。 するといつの間にか隣にいた竹内さんが「お前すごいな」と声をかけてきた。 「そう言えば、名前···羽島って言ったよな。幹部の羽島さんと何か関係あるのか?」 「ああ。あれ、兄貴」 「羽島さんが兄貴とか、羨ましい」 「でしょ、あげないよ」 笑って言えば竹内さんは「俺も羽島さんみたいな兄貴が良かった」と悲しそうな声で言う。けどすぐにそんな感じはなくなって「じゃあ俺行くわ」と建物から出て行った。

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