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第157話

少し休憩してから兄貴のところに行こうと立ち上がり建物を出た。気分が良くて廊下を歩きながらフンフン鼻歌を歌ってると前から全然雰囲気が違う男の人が歩いてくる。思わず足を止めて動かなくなった体は廊下の端に寄ることもできなくてその人と対峙してしまう。 「お前、見たことねえ顔だ」 「っ···え、っと、」 「羽島の弟ってのはお前か?」 「あ、そうですっ」 うわ、声が裏返った。 目の前にいる人はクスリと笑って俺の頭を撫でる。 「羽島の弟ってことは前まで暴れてた双子だろ?もう落ち着いたのか」 「···すみません、でした」 「いい。兄貴のところ行くのか?」 「はい」 そう言うと「そうだ、俺もあいつらに用事があるんだ。」だから「一緒に行く」と来た道を引き返す。やっと動くようになった体を動かしてその人の後ろにつく。 「怖いのか?俺のこと」 「え、っと···」 「別に悪さしてねえ奴に何かしようとは思わねえよ。こっちこい」 背中をとん、と押されて彼の隣に立つ。 「そういや自己紹介してなかったな。···俺は桜樹組の頭してる桜樹 結弦(ユズル)だ。よろしくな」 「お、俺は羽島架月です。こちらこそ、よろしくお願いします」 俺の名前を繰り返し呟いて言葉を弄んだ組長さんは幹部室の前について「入るぞー」と一言言うとドアを開けた。 中では兄貴と錦が立ち上がって「おはようございます」と挨拶をしてる。ソファーで寝たままの佐助をみて組長さんは笑った。 「佐助、寝てもいいがお前に渡す仕事は減らさねえぞ」 「ん···起きる···」 ノソノソと起き上がって目を開けた佐助は組長さんを見てへにゃり笑った。 「おはよう」 「おはよう、ございます」 大人しく頭を撫でられてまるで猫みたいだ。佐助はそのまま「どうしたの?」と首を傾げて組長さんを見た。 「これ、渡しに来た」 「何これ」 組長さんがポケットから出した1つのUSB。 それを佐助が受け取って、組長さんの周りにはいつの間にか兄貴と錦が立っていた。

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