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第159話 太陽side

「朧は俺に隠し事をしてる」 「何だよ急に。隠し事?」 「してるだろ、本当のことを言いなさい」 朧に詰め寄るととりあえずっていった感じで俺の頭を撫でる。その手を振り払って朧に「言え!」と言うと困ったように眉尻を下げて「何のことかわかんねえ」って言う。 「昨日は?」 「昨日は前働いてた店の先輩に呼ばれて飲みに行っただけだ」 「本当?だってすごい香水の匂いした」 「確かに女もいたけど···やましい事はねえよ」 「ふぅん···?」 ジロジロ見てると溜息をついた朧が俺の肩を掴んで「あのな」と真剣な目で見てきた。 「俺は、お前のことを本気で愛してる。それがお前には伝わってねえ?」 「わかってるけど···、でも不安に思っちまう」 「それは俺のこと信用してねえからだろ。」 「してるよっ!でも、違うくて···」 自分でも自分の心が、気持ちがわからないから伝えようにも伝えられなくて口を閉じると伸ばされた温かい手が俺の頬に触れる。 「何が違う」 「好き、すぎると···こんな気持ちになるんだな」 「何だそれ」 「言葉じゃ表せないくらい、不安で、でも幸せで···」 「辛いのか?」 「辛くはないよ。本当、幸せすぎて怖いくらい···でもやっぱり不安なんだ。誰かに取られちゃうんじゃないかって思うと、すごく怖い」 話してる途中なのに涙が目に浮かんだ。 朧が腕を広げるから、そこに飛び込んで逞しい胸に顔を埋める。 「ごめん、俺、すごく面倒だよな」 「いい。そんなところも全部含めてお前だろ。」 抱きしめられて首筋に顔を埋めてきた朧、当たる髪がくすぐったくて「フッ」と笑うと首を舐められて甘く噛まれた。 「この話、もう終わりな」 「···ん」 「さて、太陽くん」 「何?」 「実はさっきからお前の携帯ずっと鳴ってる」 雰囲気をぶち壊してそういった朧に惚けてると震えてる携帯を手に渡された。 「あ、架月だ」 「早く出てやれ」 特に何も考えないでコクリと頷いて電話に出た。

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