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第162話

「話っていうのはね」 ご飯を食べて少しすると架月が大切な話をしだした。 「実はね、えっと···朧には言ってなかったんだけどうちの兄貴はヤクザさんで···」 「えっ!?」 朧は大袈裟に驚いて兄貴を見た。兄貴は苦笑を零して「まあ、驚くよなぁ」と呟く。 「桜樹組の幹部で···あ、名前は羽島海ね。えっと、近い内に抗争が起こるかもしれないんだよね。そうでなくても兄貴の弟ってことで俺や太陽は普通の人よりちょっと危ないわけ。···で、だ、俺はいいとして太陽は朧と一緒に住んでるから朧にも迷惑かかるかもしれないんだ」 「······それは、別に大丈夫だけど」 衝撃的だったのか朧が戸惑いながらも呟くようにそう言った。 「でもね、もし太陽の面が知れ渡ってたらいつ2人の家に敵が襲ってくるかわかんないでしょ。家の場所ももうバレてるかもしれない」 「···じゃあどうしろって言うんだよ」 俺がそう言うと兄貴は申し訳なさそうに眉を下げて「今のいざこざが全部終わるまで、ここに住まねえか?」と言ってくる。 「そんなの···俺らしばらくセックスお預けになるじゃん」 「おい太陽っ」 「大丈夫だって。」 朧がそれを言うのはマズイって!とでも言うように俺の服をクイっと引いた。 「それでも危ない目に合うよりマシだろ」 「···そうだけど」 「なら我慢しろ。朧さんもそれでいいですか?」 「俺は、別に···」 朧が了承しちまったから俺達がしばらくここに住むことが決定した。

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