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第164話

兄貴の家に来てから何の音沙汰もなく1ヶ月が過ぎた。 そろそろ家に帰っても大丈夫なんじゃないかなぁ、と兄貴が組の方へ行った後、架月と俺と朧で話をしてた。 「ていうか、そろそろ帰らねえとマジできつい」 「エッチできないから?太陽はそうでも朧はそうでなかったりしてぇ」 「俺も割ときつい」 ケラケラ笑う架月にちょっとイラつきながら会話をする。いつも通りのこの感じ、それが鳴り響く軽快な音によって崩された。 インターホンが鳴って架月が「はーい」とモニターで人を確認する。 「誰?」 「宅配便だって」 「へぇ」 玄関に行った架月、兄貴が荷物が何か頼んだのかな?と特に気にすることなくそのままでいると朧が震えているのがわかって「どうした?」とその顔を覗き込んだ。 「わ、悪い」 「え?何が?」 「──実は···」 朧の言葉が続く前に、架月の怒号が聞こえてきた。 それから物が倒れる音や骨と骨がぶつかり合わないと聞こえないような嫌な音がして心臓がうるさく音を立てた。 「お、朧、逃げろ」 「······逃げねえよ。」 「はぁ!?何言ってんだ!!」 だんだんとこっちに足音が聞こえてくる。 何人居るんだ?架月は無事なのか? うるさく音を立ててリビングのドアが開いた。いかにもっていう感じの、どうみても堅気じゃない奴らが4人くらいリビングに入ってくる。 「おい金髪、大人しくこっちに来ねえとこいつを殺す」 「······あ、か、かづき」 糸が切れた操り人形のようにダラリとしてる意識のない架月が1人の男に引き摺られてやって来る。頭の中が真っ白になって、それと同時に怒りが湧いてきてどうにかして架月と朧を逃さねえと···と考えていた。 「朧、俺が何とかするから、架月と一緒に逃げろ」 「···太陽」 「何だよっ!!」 「···ごめんな」 悲しそうな声が聞こえてきたのと同時に首に衝撃が走って俺の意識はプツリと途絶えた。

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