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第165話

目を覚ますと冷たい床に寝かされていた。 隣には顔に痣を作った架月が同じように寝かされていて慌てて架月に触れようと手を伸ばした。 けど、体が動かない。 落ち着いて周りを見ると人は俺と架月以外いなくて、俺と架月の手足は拘束されていた。 「架月、架月!起きろ!」 寝転んでいた体勢から座って足で軽く架月を蹴る。 赤紫に変色してる架月の頬からは血が滲み出ていてすごく痛そうだ。 あれ、そういえば朧は? 意識を飛ばす前のことを思い出すとポロポロと目から涙が零れた。 あの時、俺は朧に逃げろって言ったのに、朧がそうしなかったのは架月を襲ったあいつらと仲間だったから。つまりは、俺たちの敵。悲しくて苦しくて、胸が張り裂けそう。 「ん···」 「架月···?」 薄く目を開けた架月、状況を理解したのか俺の目を見て「朧は?」と聞いてくる。そうだ、あいつらがリビングにやってきた時既に架月は意識を飛ばしていたんだ。 「···朧に、裏切られた」 「は?」 変色してるそこが痛むようで顔を歪めて俺と同じように寝転んでた体勢から座る体勢に変えて壁にもたれる。 「お前が意識飛ばしてたから、俺が何とかするから架月をつれて逃げてくれっていったら···ごめんって言われて、それで···」 次々に涙が溢れてきて、そんな俺に架月は困ったように眉尻を下げる。 「太陽、きっと大丈夫だから、ね?」 「···んっ、」 「兄貴や燈人が絶対助けてくれるよ」 架月の前で泣くことなんてもうずっと無かったのに。 しばらく泣いて涙も止まった。 架月にもたれてボーッとしてるとただ冷たくて薄暗い空間に温かい色した光が灯る。 「───···よお」 「っ」 「···テメェどのツラ下げて俺たちの前にいる」 俺たちが閉じ込められているのは牢屋のように柵で仕切られた部屋。その頑丈そうな柵の前には朧が立っていてその顔を見た途端に架月がドスの効いた低い声を出した。 「何でテメェがそっち側にいるんだよ。」 「俺は初めからこっち側だよ。それこそ太陽、お前に会う前からな」 朧の声に息をするのが苦しくなった。 初めから?何だそれ。意味がわからなくて頭が混乱する。 そんな時、さっきとは打って変わってすごく優しい声をした架月がふんわりした柔らかい笑顔で俺に言う。 「ねえ太陽、本当は何も見ないで、聞かないで欲しいけど、そうもいかないから···今は俺だけを信じて」 その言葉に頷いてゆっくりと深呼吸をした。

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