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第167話

「太陽、こっち見て」 朧はあの後、顔色を変えて俺たちの前からいなくなった。少ししてから太陽にそう声をかけると虚ろな目が俺を見る。 「何···?」 「俺たちは1番の被害者だけど、朧もきっと俺たち側だから、もう少し待ってあげて」 「···何で、俺が待たなきゃ、いけないんだよ」 「こうするしかない事情があったんだよ、多分ね」 そんな事情、俺たちには全く関係ないけど。 力なく俺にもたれかかる太陽、丁度太陽の手が俺の手に当たる。 「太陽、そのまま動かないでね」 「ん···」 上手くできたら手を拘束されてる縄が解ける。 何とか縄を解こうと手を動かし始めた時、また暖かい明かりが灯った。俺達の前でニヤニヤと笑う見たこともない男が2人。咄嗟に太陽を俺の背中に隠した。 「金髪の方には手を出すな、だったよな」 「ああ」 そう言って牢屋のような柵の1部分を開ける。 中に入ってきた1人が俺の襟首を掴み引き寄せた。 「足の拘束解いてやるから俺について来い、変な真似したらそこの金髪を殺す」 「···わかった」 不安そうな顔でこっちを見る太陽に大丈夫だよって笑う。 「架月···っ」 「ちょっと話があるみたいだから行ってくるね。もしかしたら解放してくれるかもしれないし」 「···わ、かった」 そんなこと、あるわけないけど。 ニヤニヤと嫌な笑顔を浮かべながら俺の足の拘束を解いて外に出るように言われる。太陽が俺の名前を呼ぶから振り返ってまた、笑って見せた。

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