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第169話 R18
「や、らぁ···も、いきた、くないぃぃ···ッッ」
「おいもっと締めろ。緩くなりすぎ」
「もう1本打てよ」
何時間経ったんだろう。いや、もしかしたら1時間も経ってないのかもしれない。
言葉もうまく話せなくて、自分が何を言ってるのかもわからなくなってきてチャラ男にモノを突っ込まれて泣きながら喘いでいた。言われた通りに体を動かさないと何度も殴られる。もう身体中が痛い。
「おーい、銀髪くーん」
「あ、ぁ···」
「これ、もう1本打ってあげるねぇ、もっと気持ちよくなれるよ」
「や、···や、だぁ···っ、も、やだ···!」
嫌々と首を振ってるとプツリと針が刺されて薬が体の中に入っていく。
「この子の名前何だったっけ?」
「羽島架月だろ。」
「架月くんか。ねえ架月くん、聞こえてる?」
体が痙攣してる。もうずっとイッてる感じがする。
名前を呼ばれてるのはわかってるけどそれに反応するのも怠くて、飲み込めない唾液を口端から零しながら意識を殆ど飛ばしていた。
「おい、聞けって」
「あぁぁっ!!···や、ぁ···あ···ッッ」
「う、わ···締め付けやべえ···」
突然奥を突かれて何度目かのドライで達した。
それと同時に視界が暗くなって聞こえてくる声が遠くなって、意識を飛ばした。
「···き──···かづき···架月!!」
「ぁ···?」
目を開けると太陽が泣きながら俺を見下ろしていた。
ポタポタと顔に落ちてくる涙が擽ったい。
「こ、こんな···何で···」
「太陽···」
どうやら太陽に怪我はないみたい。
よかった、と寝転んでいたままだった体を起こそうとすると鋭い痛みが身体中を走った。
「架月···痛いよな···悪い、俺、何もできなくてっ」
「もう、大丈夫だから泣かないでよ」
声が掠れてる。
いつも通りの声じゃないのが太陽の不安を余計に煽ってしまってるようで太陽に向かって笑いかけた。
「俺がいない間、誰かここに来た?」
「いや、誰も···」
痛む身体に鞭を打って起き上がる。誰のかわからない服を着せらていたのに気づいて、こんな扱いをしているくせに、服を着せてくれるなんてなと苦笑を漏らす。
腰辺りに違和感がある。そりゃああれだけ身体に色々されたんだ、違和感がないことは逆におかしい。
「早く助けに来てくれないかなぁ」
「架月、本当、ごめん。俺が何も知らないでいたから···」
「いや、太陽のせいじゃないよ。···でも気になることがあるんだよね。朧って、俺たちの所に来る前は普段何してたの?」
「ホストしてたんだけど、やめて、建築関係の学校に通いたいっていって···。···あ?でもそう言うだけで特に何もしてなかった、かも···」
「その時、本当は何してたんだろうね。」
大方、見当がつくけど。
裏の世界から足を洗って表の人間になろうとしたのかな。それは、やっぱり太陽の為?
「血が出てる」
「え···?っ、いた!」
太陽が俺の頬にいつの間にか拘束が解かれた手を伸ばしてくる、触れられた途端痛みが走って肩が上がった。
「切れてる」
「どうせ治るし、いいよ」
「跡残るかもしんねえぞ」
「跡残ったとしても俺かっこいいでしょ?」
「ここで頷いちまったら自分のこともかっこいいって言ってる事になるよな」
「まあ、同じ顔だからね」
ケラケラ笑うと太陽もつられたように口元に笑みを浮かべた。太陽の様子も少しずつ戻ってきてるし、この感じなら大丈夫だろう。
「ここに連れてこられてからどれくらいだったと思う?」
「さあ、長いように思うけど···そんなに経ってねえかも」
「そっかぁ」
早くこんな所から脱け出してあのいつもの何もない平凡な日々に戻りたいなぁ。って、心から思った。
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