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第170話

「おーい、架月くん。迎えに来たよ」 「···またかよ」 1度チャラ男と厳ついやつに無理矢理犯された時から少し経った今、そのうちの1人、あのチャラ男が俺の前に来てニヤニヤと笑ってる。 俺なんてまだ怪我も治ってないのに太陽がまた俺を不安そうに見つめて「行くな」って言うけど、そしたら太陽が危ないかもしれないもん、行かないわけがない。 結局そこから出てチャラ男に連れて行かれたのはまたあの部屋。今日はねぇ···とまるでおもちゃを与えられた子供のように嬉しそうに笑って俺の頬を殴った。 「前みたいに犯したりしないよ」 「っ、」 口の中、切れた。 血の味が広がって、まずい。 「取り敢えずストレス溜まってるんだよね。お前らを使って桜樹組を煽ってんのにあいつらちっとも動きやがんねえし、だからうちの親父がキレてるわけ。その苛立ちを俺にぶつけられてもって感じなんですけど」 「じゃあ、お前も俺に八つ当たりするなよ」 「俺は特別なの」 そう言って俺の腹を足で蹴った。 よろめいて地面に倒れこむ俺に馬乗りになって拳を振り落とす。俺、痛いの嫌いなんだけど。 手は拘束されたまま、抵抗もできないでただただ攻撃をもろに受けて···グッと両手で首を絞められた。 「っ、っぐ···」 「苦しい?どう?俺さ、人の苦しんでる顔見るの大好きなんだよね」 「ぅ···ぁ······」 「あ、落ちんなよ」 落ちそうになったところで手が離されて大量の空気が肺に一気に入ってきたから噎せてしまう。そして呼吸が整う前にまた首を絞められた。何度もそれを繰り返されて意識が朦朧になってきた時、何かが破裂するような音が聞こえてきた。 「は?チャカ?」 チャラ男が俺の首から手を離して外の様子を見に部屋のドアをゆっくりと開ける。霞む視界の中でその様子を見てるとチャラ男が慌てて俺の所に来て俺を担ぎ上げ走り出す。 「架月!」 太陽のいる元いた場所に連れてこられた俺はここに来るまでの光景をみて大変なことが起きていることに気づいた。 「架月!大丈夫か!」 「···太陽、来てくれたよ」 「え?」 「多分もう、大丈夫」 俺をここに連れ込んでチャラ男はすぐにここから消えた。 そう、今は本当に大変な時なんだ。 さっき、ここに来るまでに確かに見えた。 ───···兄貴と燈人が。 遂に抗争が始まった時だった。

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