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第182話

家に着いて言っていた通り、俺は兄貴の膝の上に向かい合わせで座って、兄貴にぎゅっと抱きついていた。 「苦しい」 「あー···なんかムラムラしてきた」 「·········」 兄貴の匂いを嗅いでると安心してるのと好きな匂いなのとで気持ちが昂ってくる。 「キスして」 そう言うと何度もキスをしてくれて、そのせいでまた、抑えがきかなくなっていく。 「安静にって言われてるからさ、激しくないセックスしよう」 「···嫌じゃねえのか?無理矢理ヤられたんだろ」 「うん、俺は大丈夫···兄ちゃんが嫌なら我慢する」 「嫌なわけねえだろ」 キスが深くなって服の裾から手を差し入れて背中を撫でてくる兄貴にはぁ···息が漏れた。 「ていうか激しくないセックスって何だ」 「挿れてもガツガツ突かない的な?」 「······俺が辛いだけだろ、それ」 「俺のために我慢して」 自分からキスをして勃ち上がって来てるものをぐっと押し付ける。 「っん」 「気持ちいのか、こうやってるの」 「う、ん···ねえ、触って···」 俺も兄貴の服の裾から素肌を撫でる。 肩甲骨あたりを撫でると筋肉が程よくついてて羨ましいなぁと思う。 「架月、腕あげろ」 「ん」 俺の服を兄貴が脱がせて、兄貴の服を俺が脱がせた。上半身裸で向き合うのって意外と恥ずかしい。 鎖骨にキスを落として手を下に滑らせ胸に触れた兄貴は肋骨のヒビを気にしてくれてるみたい。何度かそのあたりを摩って、胸の尖りをキュッと抓ってから熱い舌で舐めあげた。 甘い声が出るのも構わず兄貴は俺の体を攻める。気持ちよくて目を閉じてその感覚だけを味わってると俺の中心にダイレクトに刺激が走った。 「くぅ、ぁ···あっ」 「もうこんなんなってんじゃねえかよ」 「あ、はぁ···ん···気持ちい···」 額を兄貴の肩につけて荒く呼吸をする。 気持ちよくてどうにかなりそうだ。 だって朧がうちに泊まっていたあの期間だって俺たちは一度も体を繋げてないんだから。 「あー···だめ。今日、気持ちよすぎ···」 「全然してなかったもんな」 「兄ちゃんは平気だったの?俺は結構キツかったんだけど···」 「さあな」 中心を強く扱かれてあっという間に欲を吐き出したあと、抱き上げられてそのままベッドに連れて行かれる。 「···ねえ、やっぱりさ、そんなに言うほど痛くないからガツガツしよう」 「ダメだ」 「えぇ···だって、そっちの方が二人とも気持ちいいじゃん」 「ならもうしねえ」 「やだ!チッ、わかったよ···」 俺の為に言ってくれてるってわかってるけどやっぱり不満ではあるから舌を一度打つと眉をひそめて俺を睨んできた。 「わかった、激しくしなくてもお前を満足させてやる方法なんていくらでもある、後で後悔するなよ馬鹿弟」 「できるもんならやってみろクソ兄貴」 そう言った途端、兄貴は俺の上に覆いかぶるようになっていたのに一度俺から離れてかけてあった細長いネクタイを一つ持って戻ってくる。 「え、ちょ、何」 「動くな」 そう言われてキスをされて、そのキスに酔ってると兄貴が手に持っていたネクタイが俺の視界を0にした。 目元をそれに覆われて焦る。 「んんっ!?」 手足を動かして抵抗すると抱きしめられて頭をポンポンと撫でてくる。 「痛いことも怖いこともしねえから、お前は感じてろ」 「···ぁ、でも、これっ」 「死ぬほど良くしてやる」 さっきあんなこと言わなきゃよかったって後悔した。

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