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第192話
「何かあったら連絡しろ。」
「うん。ありがとう」
朧と一緒に暮らしていたアパートについて兄貴と架月と別れた。
部屋に入った途端、朧が俺を強く抱き締めてくる。
「痛いよ」
「···太陽」
「うん。なあご飯もだけど疲れただろ?お湯貯めるから先に風呂入ってきたら?」
「一緒に入ろう」
「狭いじゃん」
笑ってそういえば「それもそうか」と少し落ち込んだ声で言う。
「なあ朧」
「うん」
部屋に上がって少しの間座る。
朧の唇を軽く舐めてキスをすれば目を細めてキスを返してくれる。
「甘い」
「うん、甘いね。···ちょっと待ってて、風呂やってくるから」
「行くな」
「···何言ってんの。風呂の準備するだけだろ。」
「···ごめん」
「ううん、すぐ戻ってくるから」
朧の髪を撫でて風呂場に行く。
心の中はドキドキとしている。
俺を先に手放したのは朧の方なのに、とかそんなことより「行くな」って言われたのが嬉しかった。
「···好きだな」
あんな事があっても、俺はやっぱりすごく朧が好きで、離したくないみたいだ。
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