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第193話
部屋に戻ると朧は俺を両手を広げて迎えてくれる。
遠慮なくその胸の中に入り、逞しい首に顔を寄せキスをすると嬉しそうに目を細めた。
「早く風呂わかねえかな」
「そうだな」
「そしたら今日は寝ないで朧とずっと抱き合ってることにする」
「今日だけじゃなくて、明日も、明後日もそうがいい」
「バカ、学校だよ」
俺を膝の上に乗せ抱きしめて離してくれない朧は、そのまま俺の肩に顔を埋めて「ごめん」と謝った。
「別に怒ってねえよ」
「···太陽」
「何?」
「抱きたい」
「風呂入ってから」
それまでは我慢。そう付け足して伝える。目をうるうるとさせて「早く入らねえと」とゆっくり立とうとする朧に「まだだから!」と少し大きめの声で言うとその動きは止まった。
「まだだから、このままゆっくり待ってよ。ご飯どうする?」
「今日は···もういいや」
「そう。じゃあ明日からはちゃんと食べよう」
「うん」
つけたテレビをぼーっと眺めて、しばらくすると風呂が湧いた合図が聞こえてきた。用意を持って二人で風呂場に行き服を脱いで入る。
時間はたっぷりあるのに、まるでそれがないように二人して急いで髪と体を洗い風呂を出て体を拭き、せっかく用意した服も着ずにベッドに倒れ込む。
「あっ、ちょ、朧待ってっ」
「無理、待てない」
「ぁ、まだ、ここちょっとだけ痛いんだって」
そう言えば朧の動きはピタリと止まった。
目と目を合わせて「だから優しくして欲しい」と言うと泣きそうな顔になって、その顔を両手で包み込んでキスをした。
「優しくして」
「ああ」
朧の温かい大きな手が素肌を撫でる。
撫でられた場所がビリビリと痺れたような感覚がひろがつて「んっ」と小さく声が漏れた。
「もうずっと、お前に触ってなかったな」
「うん。···だからいっぱい触って」
何度もキスをされる。久しぶりに触られる体は思っていた以上に朧を求めていたみたいで、ビクビクと震えている。
俺も朧の体に手を伸ばして抱きしめると朧は優しく笑って俺の腰を撫でた。
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