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第198話

ただ影のある中庭でぼーっとして過ごしただけの今日。 帰る時間になって兄貴に連絡を入れると「迎えにいく」って言ってくれた。 「兄貴来てくれるって。凛ちゃんも送ってもらえば?」 「え、いいの?」 凛ちゃんは持っていたいちごミルクのパックをポンッとゴミ箱に投げ捨てる。 「兄貴に伝えたげる」 「いぇーい。」 「太陽も一緒に帰ろ」 「おう」 ベンチに寝転んでる太陽に凛ちゃんが近づいて「太陽ぉ、寝るの?」と聞いている。 俺は兄貴に連絡して凛ちゃんのことを伝え、兄貴が来るのを待った。 *** 「わー!双子のお兄さん初めましてぇ」 「あれ、男?」 「え?」 兄貴は凛ちゃんを見てキョトンとしてる。 「いや、架月から"凛ちゃん"って聞いてたから、女かと···」 「あー、まあどっちでもいいですよ」 凛ちゃんはニコニコ笑って兄貴と握手してる。 「いつも二人がお世話になってます」 「いやいやー寧ろお世話してもらってますー、いややっぱりお兄さんもイケメンだなぁ」 「···凛くんの方がそうだと思うけどなぁ」 「ふふっ、お兄さんいい人だー」 兄貴の乗ってきた車に乗り込んでダラリとする。 「今日はどうだったんだ」 「んー、サボってた」 「は?」 「久しぶりに凛ちゃんとも会えたし、これはも三人で話してる方がいいよなって思って」 「······留年はすんなよ」 「わかってる」 そんな話をしている内に凛ちゃんの家に着いて凛ちゃんと別れる。 「兄貴兄貴」 「ん?」 太陽が兄貴に話しかけると兄貴は優しく返事をした。 「朧のこと、兄貴に迷惑かかってない?」 「ああ、全くな。若も俺達の好きにしろって言ってくれてるし、大丈夫だ」 「···ありがとう」 太陽はそれだけ言って兄貴もいつも通り優しい表情のまま。 「じゃあな、朧によろしく」 「うん。ありがとう」 太陽を送って、俺たち二人になる。 「兄貴ぃ」 「何だ」 「疲れた」 「サボってた癖にか?」 兄貴はくすくす笑う。 信号待ちでプラプラさせていた兄貴の左手を取って手を繋ぐ。 「俺のこと好き?」 「ああ」 「帰ったら、エッチしたいなぁ」 「まだこんな時間なのに?」 「欲しいって思っちゃったんだもーん」 「まあ、いいけど」 そうして家に帰り、手を洗って兄貴に抱きつく。 ちゅ、ちゅってキスをするとふふって柔らかく笑った兄貴···兄ちゃんが俺の背中に腕を回して抱きしめた。

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